字面による詰め組みと食い込み詰め
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 17:56 UTC 版)
「詰め組み」の記事における「字面による詰め組みと食い込み詰め」の解説
日本語の組版ではおもに漢字と仮名を用いるが、仮名の字面の大きさはまちまちであり、漢字のそれより小さい。そのため、見出しなどの大きめの文字を用いるテキストでは文字同士のすきまに不統一が目立ってしまう。そこで、仮名のすきまが一定になるように、仮想ボディではなく字面の幅 (縦組みでは高さ) を基準にして詰めることがある。このような組みかたも詰め組みと呼ぶ。詰めるのは仮名だけである。組版指定では「ツメS」と表現することがある。図の (ホ) に字面による詰め組みの例を示す。字面による詰め組みに加えて前述の均等な詰めを用いることもある。図の (ヘ) は (ホ) をさらに1/32emだけ均等に詰めたもので、組版指定では「ツメS+1/32em」などと表現する。 手動写植機の時代には、このような詰め組みはオペレータの勘と経験によって行われていた。詰め組み用文字盤 (後述) やDTPでのプロポーショナルフォント技術が利用可能となった後も、オペレータやデザイナーが手作業で詰め量を微調整することが多い。図の (ト) は、(ホ) に対して手詰めによってさらに修正を加えた例である。 広告宣材、書籍の装幀、雑誌のロゴなどのデザイン性の強い分野では、デザイナーの判断によってさらに詰めることがある。文字同士が食い込みあうほどにまで詰めることを特に食い込み詰め (くいこみづめ) と呼ぶ。図の (チ) は食い込み詰めの例だが、実際にはデザイナーの意図や技量によって詰め具合はさまざまである。あくまでもひとつの例として見てほしい。 字面による詰め組みや食い込み詰めはデザイン上の効果を意図して行われる。書籍や雑誌記事では、縦組みか横組みかを問わず、本文はベタ組み (または一定の量の詰めかアキ) とするのが原則であり、見出しには詰め組みを用いることもできる。
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