天体の電波機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 06:21 UTC 版)
天体が放射する電波にはいくつかの機構がある。いくつかの波長で観測を行うことでどのような機構で放射された電波かを知ることができる。それによって天体の性状を知ることができる。 シンクロトロン放射: 光速に近い電子が磁場中でローレンツ力を受けて円運動する際に放射される。強度の波長依存性が強い連続スペクトルを持つ偏光を放射する。 熱制動放射: 高温のプラズマ中の電子が原子核からの引力を受けて進路を曲げられる際に放射される。強度の波長依存性が小さい連続スペクトルを持つ光を放射する。 電離原子の再結合: 電離した原子と電子が再結合する際に放射される。線スペクトルを持つ。 水素原子の21cm線: 水素原子中の電子のスピンが反転する際に放射される。 分子の回転遷移: 暗黒星雲(分子雲)中の分子の回転が変化する際に放射される。線スペクトルを持つ。 宇宙背景放射: ビッグバンの時に宇宙に満ちていた光の名残。 第二次世界大戦後に戦争中に発達したレーダーの技術が応用され、より詳細な観測が行われるようになった。しかし、電波での観測は光学観測に比べて分解能が非常に劣るのがネックであった。干渉計の応用によりこの点が大幅に改善された。その結果、多くの天体が電波では可視光とは違った姿をしていることが明らかとなった。こうして電波観測が天体観測の一手段として確立した。
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