大石寺本系の諸本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 05:25 UTC 版)
大石寺本は、巻十の箱根別当による説法の場面の有無にもとづいて、大きく2系統に大別されている。このシーンがあるものがI類、ないものがII類である。 I類のなかでは、日本大学の所蔵本(「日大本」)が、この系統では最初期のものである特徴を有しており、「本門寺本」に近い。ただし「日大本」だけにみられる誤りなどもあり、大石寺本全体の原本ではないと考えられている。慶應義塾大学所蔵本(「慶大本」)は、他の諸本にはみられない詞章をもつのが特徴で、本文には目移りを原因とする誤記がみられる。 II類のなかでは、静嘉堂文庫所蔵の小宮山昌世題本(「小宮山本」)、名古屋市鶴舞中央図書館所蔵本(「鶴舞本」)が代表的である。 I類「日大本」- 日本大学所蔵 「慶大本」- 慶應義塾大学所蔵 II類「小宮山本」- 静嘉堂文庫所蔵・小宮山昌世題本 10巻が欠落。序文に「元文5年(1740年)」とあり、それ以前に成立したものとみられる。 「武田本」- 国学院大学所蔵・武田祐吉旧蔵本 「犬井本」- 犬井善壽所蔵本 1・5・6・7・8巻のみ現存 「山岸本」- 実践女子大学山岸文庫本 「国史本」- 国史叢書所収本 所在不明 「鶴舞本」- 名古屋市鶴舞中央図書館所蔵 「南葵本」- 東京大学附属図書館所蔵・南葵文庫本 「松井本」- 静嘉堂文庫所蔵・松井簡治旧蔵本 「彰考館本」- 彰考館文庫本
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