大煙突の健康診断
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 08:50 UTC 版)
「日立鉱山の大煙突」の記事における「大煙突の健康診断」の解説
1968年(昭和43年)8月6日に発生した宇和島沖地震によって、日立鉱山の大煙突の弟分とも言える佐賀関の大煙突は最上部約8メートルが崩落する。日立鉱山の大煙突と佐賀関の大煙突はともに完成後50年を越え、老化が心配されだした頃に起きた煙突最上部の崩落は、関係者に両煙突の耐久性調査の必要性を痛感させることになった。日立鉱山の大煙突と佐賀関の大煙突ともに使用中の煙突であったため、調査は非破壊的なものに限定されてしまったが、名古屋大学工学部土木工学科の手によって両煙突の耐久性調査、いわば健康診断が実施されることになった。 日立鉱山の大煙突の調査は1974年(昭和49年)4月23日、24日に行われた。調査は大煙突の基礎部分で煙突の常時微動を測定し、振動を分析して煙突の現状を推定するとともに、落下していた大煙突のコンクリート片の分析を行った。大煙突には足がかりとなるものは何も無く、登っての調査には大きな危険が伴うために煙突本体の調査は振動測定のみとなった。 調査の結果、煙突本体、煙突の基礎ともに良好であり、コンクリートの強度、中性化などについても問題が無いことが明らかとなった。大煙突の健康診断の結果としては基本的には健康状態に大きな問題がないとされた。しかしコンクリートの落下が見られることや、煙突表面のところどころによだれを垂らしたかのような模様が見受けられる点から、大煙突のコンクリートの一部に施工不良があり、その部分から剥がれ落ちていると見なした。なおコンクリート脱落の原因は、大煙突建設時点はコンクリート建設が広まり始めた頃であり、当時の鉄筋コンクリート工事の状況から考えると打ち継目の処理に難があったためであると判断している。
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