大日本帝国憲法における「勅令」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/28 06:07 UTC 版)
「予戒令」の記事における「大日本帝国憲法における「勅令」」の解説
大日本帝国憲法において、前記の「法規命令」や「行政規則」のほかに規定された特殊な「命令」が存在していた。それは「勅令」という法形式である。「勅令」は大日本帝国憲法第8条及び第9条で定められており、第8条は緊急時に法律に代わるものとして発せられる「緊急勅令」(緊急命令)、第9条は立法権の例外として行政機関の権限によって発せられる「勅令」(独立命令)を規定していた。 大日本帝国憲法第8条 「緊急勅令」は、天皇が「公共の安寧を保持し」又は「災厄を避ける為」等の「緊急の必要」があり、かつ、帝国議会 が閉会している時に法律に代わって勅令を発する権限を有すると定めていた。その効力は、次の会期における議会の承諾を得た場合のみ、将来に渡って継続することができるとした。 帝国憲法第8条に基づく「緊急勅令」の例としては、田中義一内閣において公布された治安維持法(大正14年4月22日法律第46号)の全面改正法である「治安維持法中改正ノ件」(昭和3年6月29日勅令第129号)が挙げられる。 大日本帝国憲法第9条 「勅令」は、天皇が「法律を執行する為」又は「公共の安寧秩序を保持し」及び「臣民の幸福を増進する為」に必要な命令を発する権限を有すると定めていた。 法律や勅令などの立法権は天皇に由来し、天皇は内閣に法律案を起草させ、または議会の提案により衆貴両院の同意を経て、立法を行うことができるとされていた(大日本帝国憲法第5条)。なお、実際の勅令の制定は内閣の輔弼(行政各部の事務について責任を有する大臣による事実上の承認、大臣の副署)を要するという形式を採用していた。
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