大学・企業の取り組み
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 03:18 UTC 版)
かつては飼育の難しさから完全養殖は不可能と考えられていた。1970年に研究に着手した日本の近畿大学水産研究所が2002年に人工孵化からの完全養殖に成功した。「クロマグロ完全養殖の技術開発」は、農林水産大臣から「平成16年度民間部門農林水産研究開発功績者」として表彰された。 当初、クロマグロは幼魚を捕獲しての養殖事業が行われており、近畿大学水産研究所は和歌山県串本町の大島分室でクロマグロの飼育技術を研究していた。2001年3月には、クロマグロの産卵場所に近く、水温がより高い鹿児島県奄美大島瀬戸内町花天に奄美実験場を開設し、和歌山県から輸送した幼魚の本格飼育実験を開始した。奄美大島で育てることにより生育速度は1.5倍にもなり、完全養殖の成功につながった。2012年からは近畿大学と豊田通商が協力し、長崎県五島市でも商業化が開始された。 マルハニチロも1987年から研究を開始し、2010年に民間企業としては初の完全養殖に成功して、2015年から「ブルークレスト」の商標で出荷を開始した。2016年時点で、マルハニチロ傘下の奄美養魚が、奄美大島瀬戸内町にある6基の生け簀のうち2基を完全養殖に当て、別途採卵用の親魚いけすも設けている。瀬戸内町は近大マグロも含めてクロマグロ養殖日本一となっており、古仁屋港ポケットパークには2015年3月にクロマグロの巨大モニュメントが設置された。 日本水産も2007年から中央研究所大分海洋研究センターと、長崎県佐世保市の金子産業佐世保・黒島事業所で完全養殖の取り組みを開始。黒島で完全養殖したものを「喜鮪(きつな)金ラベル」のブランドで2017年冬から出荷開始するメドをつけ、販売中。 極洋傘下の極洋日配マリン(現極洋フィードワンマリン)も2004年から愛媛県南宇和郡愛南町で完全養殖に取り組み、2014年に成功。「つなぐ」のブランド名で2017年11月22日に出荷を開始した。 漁業協同組合とその関連組織からは、2011年にみえぎょれんなどが出資して、三重県度会郡南伊勢町でブルーフィン三重という会社を立ち上げ、伊勢まぐろブランドで幼魚からの養殖に参入した。
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