塩分と生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 07:09 UTC 版)
塩分組成の比率はヒトの体液とほぼ同じであるとまことしやかに言われることもある(一部の天然塩の宣伝など)が、ヒト生体の塩分濃度は約0.9%であり、海水の塩分濃度は生体よりもかなり高い。大量に飲まない限り害はないが、塩分が多く浸透圧が高すぎるため水分の摂取には適さない。また、体質によりマグネシウムイオンに対して敏感な場合は下痢の原因となる。 ただし海で生息する哺乳類の中には海水に適応している種もあり、ラッコはカワウソ類の平均の2倍もの大きさの腎臓により海水の塩分を濾過できるため、水分補給のために飲むことが出来る。またアオバトなど海に近い場所に生息する動物は、塩分の摂取を目的として飲む種もある。ヒトは水分を蒸発させて固体の食塩を採取するか、過去に海だった陸地において岩塩を採取し摂取する。 塩分組成の比率については、現在の塩分濃度よりも、その生物が生まれた当時の海水の塩分濃度・組成に近いと言える。硬骨魚類を含む多くの脊椎動物は塩分濃度は0.8-0.9%前後であり、これは4億年ぐらい前の海水の塩分濃度に近いと考えられている。脊椎動物の登場が5億4200万年前、脊椎動物(両生類)の上陸が3億6000万年前と言われている。一方で硬骨魚類と異なり淡水での進化を経験していない軟骨魚類、クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物、貝やイカ・タコなどの軟体動物、ウニやヒトデなどの棘皮動物、ホヤ類、甲殻類などの無脊椎動物については、体液は海水とほぼ同じ組成で、浸透圧も海水と等張である。ただし、過去数億年の海水の塩分濃度については現在よりも高かったという見方も存在する。
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