塔和子とは? わかりやすく解説

塔和子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/04 15:11 UTC 版)

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塔 和子
(とう かずこ)
誕生 井土 ヤツ子
1929年8月31日
愛媛県東宇和郡(現西予市)明浜町
死没 2013年8月28日
言語 日本語
国籍 日本
ジャンル
主題 塔和子の世界
文学活動 自己の存在の魂の叫び
代表作 『記憶の川で』(1998年)
主な受賞歴 高見順賞(1999年)
デビュー作 『はだか木』(1961年
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塔 和子(とう かずこ、本名・井土 ヤツ子(いづち やつこ)1929年8月31日 - 2013年8月28日)は、日本の詩人。11歳でハンセン病を発病し、国立療養所大島青松園に入所するかたわら、多くの詩を書いた。

生涯

1929年8月31日、愛媛県東宇和郡(現西予市)明浜町田之浜にて、8人きょうだいの3番目の次女として生まれる。1941年、田之浜国民学校初等科6年生の春、11歳の時(と思われる)にハンセン病を発病。1943年6月21日、13歳の時に、ハンセン病により国立療養所大島青松園(おおしませいしょうえん)に入所。1951年9月、同園の赤沢正美と結婚。1952年頃に、特効薬プロミンによりハンセン病が完治。

1957年頃から詩作を始め、1961年に初の詩集『はだか木』を出版。1964年、園内のキリスト教会で洗礼を受ける。1989年毎日放送テレビドキュメント「不明の花-塔和子の世界」放映。1999年、詩集『記憶の川で』で第29回高見順賞受賞。2000年11月、夫・赤沢正美死去。2003年、塔の詩をモチーフにハンセン病隔離の歴史と今を検証したドキュメンタリー映画「風の舞-闇を拓く光の詩(うた)」(監督・宮崎信恵、詩の朗読・吉永小百合)公開。2004年1月、NHKテレビ四国スペシャル「生きた証し・ハンセン病療養所の詩人・塔和子」を放映。同年3月、朝日放送(ABCラジオ)日曜スペシャル「魂の共鳴り-詩人・塔和子とハンセン病、そして人々」を放送。同年10月2日、高松市内で「全国豊かな海づくり大会」に出席中の天皇・皇后と歓談。『塔和子全詩集』(全3巻)を含めて20冊の詩集を発行。2011年5月21日6月26日まで、国立ハンセン病資料館で、同資料館と塔和子の会共催で「塔和子展」を開催。

塔和子の会の川﨑正明代表は「塔和子の詩は、自己の存在を根源的に見つめながら、一貫して人間の尊厳を問い、一生懸命に生きようとする魂の叫びとして読者の心に響く詩です。高見順賞の選者、大岡信は『自分の本質から湧き出してくる言葉を繰り返し追求している』と評し、文学界でも高い評価を得ています。」と述べている。[1]

2013年8月28日午後3時10分、急性呼吸不全で死去。満83歳。大島青松園に入所した期間は70年3カ月だった。同年11月3日、大島青松園大島会館で「塔和子さんを偲ぶ会」を開催(塔和子の会主催)。遺骨は大島青松園の納骨堂に納められたが、2014年3月17日、故郷の西予市明浜町田之浜の墓地に、本名・井土ヤツ子の名前で分骨された。

授賞と文学碑

  • 1999年 - 第29回高見順賞を受賞。作品は『記憶の川で』。
  • 2002年 - 香川県教育文化功労賞を受賞。
  • 2004年 - 第62回山陽新聞賞を受賞。
  • 2007年 - 愛媛県西予市明浜町大早津シーサイドサンパークに、「塔和子文学碑」建立。碑に「胸の泉に」の詩が刻まれる。
  • 2008年 - 同町の大崎鼻公園に「第2塔和子文学碑」建立。碑に「ふるさと」の詩が刻まれる。

詩集

  • 1961年 - 『はだか木』(デジレ・デザインルーム)
  • 1969年 - 『分身』(私家版)
  • 1973年 - 『エバの裔』(燎原社)H氏賞候補
  • 1976年 - 『第一日の孤独』(蝸牛社)H氏賞候補
  • 1978年 - 『聖なるものは木』(花神社)H氏賞候補
  • 1980年 - 『いちま人形』(花神社)
  • 1983年 - 『いのちの宴』(編集工房ノア)
  • 1986年 - 『愛の詩集』(海風社)
  • 1988年 - 『未知なる知者よ』(海風社)
  • 1989年 - 『不明の花』(海風社)
  • 1990年 - 『時間の外から』(編集工房ノア)
  • 1993年 - 『日常』(日本キリスト教団出版局)
  • 1995年 - 『愛の詩』(編集工房ノア)
  • 1996年 - 『見えてくる』(編集工房ノア)
  • 1998年 - 『記憶の川で』(編集工房ノア)高見順賞受賞
  • 2000年 - 『私の明日が』(編集工房ノア)
  • 2002年 - 『希望の火を』(編集工房ノア)
  • 2002年 - 『大地』(編集工房ノア)
  • 2003年 - 『今日という木を』(編集工房ノア)
  • 2004~2006年 - 『塔和子全詩集』(全3巻)(編集工房ノア)

詩選集、その他

  • 1970年 - 詩選集『裸木』(神戸大学出版局)
  • 1981年 - 詩選集『はだか木』(VAN書房)
  • 1981年 - 詩選集『エバの裔』(VAN書房)
  • 1981年 - 詩選集『第一日の孤独』(VAN書房)
  • 1987年 - 楽譜『めざめた薔薇』(作曲・柳川直則/音楽之友社)
  • 1990年 - 楽譜『人の林で』(作曲・柳川直則/音楽之友社)
  • 1991年 - 楽譜『帽子のある風景』(作曲・柳川直則/音楽之友社)
  • 1994年 - 詩画集『めざめた風景』(画・小島喜八郎/三元社)
  • 1999年 - 詩選集『いのちの詩(うた)』(編者・川﨑正明、河本睦子、長瀬春代、石塚明子/編集工房ノア)
  • 2007年 - 詩選集『塔和子 いのちと愛の詩集』(角川学芸出版)
  • 2008年 - 詩選集『希望よあなたに』(編者・川﨑正明、長瀬春代、石塚明子/編集工房ノア)
  • 2014年 - 追悼集『いのちを紡ぐ 詩人・塔和子追悼集』(編・塔和子の会/編集工房ノア)

脚注

  1. ^ 『いのちの詩(うた) 塔和子展』リーフレット(編集・発行 国立ハンセン病資料館 2011)の中の塔和子の会の代表、川﨑正明による

文献

  • 2011年 - 『いのちの詩(うた) 塔和子展』リーフレット(編集・発行 国立ハンセン病資料館 2011)

関連作品

  • 2009年 - 安宅温『命いとおし 詩人・塔和子の半生-隔離の島から届く魂の詩』(ミネルヴァ書房)
  • 2012年 - 沢知恵CDアルバム「かかわらなければ~塔和子をうたう」
  • 2015年 - 高木智子『隔離の記憶-ハンセン病といのちと希望と』(彩流社)
  • 2016年 - 川﨑正明『かかわらなければ路傍の人-塔和子の詩の世界』(編集工房ノア)

外部リンク


塔和子

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ハンセン病に関連した人物」の記事における「塔和子」の解説

塔和子(1929年 -)は、愛媛県生まれ1943年発病大島青松園入園1961年以来詩集26発行

※この「塔和子」の解説は、「ハンセン病に関連した人物」の解説の一部です。
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