地震の原因の究明
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/25 21:26 UTC 版)
コロラド鉱山大学の院生ユン・リアン・ワン (Yung-Liang Wang) が学位論文の一環として行った調査により、震源はデンバー市の北の長さ75km長・幅40km・深さ45kmの狭い範囲に集中していることが明らかになったが、この時点では多くの地震学者はこれは天然の群発地震であると考えていた。その後の精査により領域はさらに狭められ、ワンが着目していた地震は注入縦坑から半径8km以内であったことが明らかになった。 地中注入が地震と関係している可能性を最初に提案したのは、レジス・カレッジ(英語版)地震観測所のジョーゼフ・V・ダウニーである。1965年11月には、デンバーの地質学者デビッド・エヴァンス (David Evans) が注入量と地震の頻度が相関しているとするデータをまとめ、大衆に対してもテレビで大々的に主張した。それに対し陸軍は地震と地中注入の関連を否定し、多くの地質学者も懐疑的であった。米国地質調査所 (USGS) でも否定的であり、注入と地震は関係が無いことを実証するため観測機器を設置した。ところが観測結果は注入量(1-9百万ガロン/月)と地震の発生頻度の関連を示し、1963年後半から1年間注入を中止すると、その間の地震の回数は激減し、1964年後半に注入を再開すると地震活動も元に戻った。 この事から注水と地震の関係が認められたため、1970年代にUSGSではデンバーから約300km西のRangely油田で同様の観測を行い、それまで一日50回以上あった地震が注水を停止すると一日10回以下になり注水と地震の関係が再確認された。その後1990年代には土壌塩分管理の為大量の水が注入されていたParadox Valleyで同様な地下注入による地震が観測された。 デビッド・エヴァンスには15年後に米国政府から5万ドルの報奨金が与えられた。
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