地球の計測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/10 19:39 UTC 版)
『地球の計測』 (De mensura Orbis terrae) は825年頃に完成したとされ、アーヘンのフランク王国宮廷に保管されていた、東ローマ皇帝テオドシウス2世の命によって行われたとされる測量調査記録(435年)の写本をもとに編纂された。ディクイルと同じくカール大帝に仕えていた修道士ゴデスカルクも、この写本を使用して彼の福音書装飾写本(英語版)を完成させたと言われる(781年 - 783年)。 ディクイルはこの中で、大プリニウス、ガイウス・ユリウス・ソリヌス(英語版)、パウルス・オロシウス(英語版)、セビリャのイシドールス、同郷の修道士で詩人のセドゥリウス・スコトゥスらの記述を利用している。同書中に引用または言及されている古代ギリシャ・ローマ期の著述家の数は30に上る。「ヨーロッパ」「アジア」「アフリカ」「エジプト」「エチオピア」「大地の範囲」「5つの大河」「いくつかの島々」「ティレニア海」「6つの最も高い山」の全9章で構成される。他の著作の再編纂がほとんどであるが、テオドシウス2世による測量調査に関する唯一の情報源でもある。また同時代の旅行者から直接聞いた情報も盛り込まれている。たとえば聖地巡礼に赴いたフィデリス(762年?)という修道士からはピラミッドおよび当時ナイル川と紅海とを結んでいた運河の話を、別の修道士からは現在のフェロー諸島への航海と、アイスランドに半年間滞在した時の体験談(真夏の白夜)を引用している。 写本は7つが現存しており、最古の写本は10世紀の「パリ写本」とされる。この書の写本はマルクス・ヴェルザー、イサーク・フォッシウス(英語版)、クラウディウス・サルマシウス(英語版)、ジャン・アルドゥアン(英語版)、ヨハン・ダニエル・シェプフリン(英語版)といった人々には知られていた。1807年に初の印刷版 (Dicuili Liber de mensura orbis terrae ex duobus codd. mss. bibliothecae imperialis nunc primum in lucem editus a Car. Athan. Walckenaer ) が刊行された。
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