国家承認との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/24 06:59 UTC 版)
国家承認とは、既存の国家が新しく成立した国家に対して国家としての国際法上の主体性を認めることをいう。分離独立、連邦国家の解体、既存国家同士の合併などにより、新しく国家となろうとする存在に対して既存の他国が国家承認を行うことがある。19世紀においては、新たに国家となろうとする存在が住民、領域、政府、外交能力の4つの要件を満たしたとしても、他国からの国家承認が得られなければ国家とはみなされず、4つの要件に加えて国家承認も要件のひとつに加えられていた。国家承認に国家を創設する法的な効果があるとする考え方であり、こうした考え方を創設的効果説という。これは国際法上の権利義務を付与するかどうかは既存国家の自由な裁量行為とみなす考え方に由来する。これに対して国家承認を国家の資格要件とはしない立場を宣言的効果説と言う。この立場によれば、国家承認は前記の4つの要件を確認し、承認を受けた国が承認を与えた国にその旨を対抗する効果を発生させるものと考える。前記4つの要件を満たした存在は他国による国家承認を得ることなくしてすでに国家であり、これに対する国家承認は4つの要件の存在を確認するものにしかすぎないものと宣言的効果説は考える。国家承認に創設的な効果を認めず、国家承認は単に新しい国家が実効的支配を確立したことを宣言するものにしかすぎないものという。現代においてはこの宣言的効果説がほぼ通説と考えられている。しかし現代においても、支配のために用いられた手段が国際法に違反する占領や征服であった場合にはその地域に対する領域権原の取得が認められることはなく、この点において創設的効果説にもとづく判断が部分的に妥当することがありうる。また、新たに独立を宣言した存在が多くの国々による国家承認を得たり、アメリカ合衆国のような大国から国家承認を得た場合には、独立を宣言した存在の対内的な政治的基盤が事実上強化されることは間違いない。法的には国家承認に新国家を創設する効果は認められないが、事実上は創設的な要素があることも事実と言える。
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