図像的な背景
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 02:01 UTC 版)
主たる登場人物はウォーターハウスに特徴的なスタイルでカンバスの中央に位置づけられた、孤独な女性像である。周囲の、環境はそれがまるで現実ではないかのように煙霧がかかっている。言い換えれば、後のその画家の作品との比較では、それぞれの絵具層の透明感の整合性は低く、結像せず、表面的でガラス質のようでありながらも快活という個性は埋没していて、その展望は霞んでいる。魔女が唯一の重要なイメージであることをことさらに保証するように、背景の人物らは綿密な調査ではじめて見分けることができる。 ウォーターハウスは作品内で採用された諸角度に細心の注意を払い、三角形の構図の使用によって人物が自分の周囲に描いている円のバランスを取った。彼女のまっすぐな片腕は杖によって延長され、彼女の直立している身体に対して45度で差し出されている。魔女の魔法の力は、彼女の決然たる表情によって、ワタリガラスとカエルを円の外に締め出すことによって、そして煙の柱に対する支配力によって強調されている。それは外側に大きく波打ったり風によって影響されたりせずに、直線状態のままである。また生きている蛇ウロボロスが彼女の首に絡みついている。 『魔法円』は図式においてはウォーターハウスが後に制作する絵画『ミランダ』(Miranda, 1916年)と、連続的で、酷似しているが、ミランダもまた魔法と結びつく女性である。魔女は『ミランダ』に似た服を着ており、彼女の顔もまた横顔でしか見ることができない。フレデリック・サンズ(英語版)による『メーデイア』(Medea, 1868年)や『モーガン・ル・フェイ』(Morgan le Fay, 1864年)のような女性の魔法使いの描写とは異なり、ウォーターハウスは魔女の顔を、悪意に対立するものとして、ひたむきで、好奇心をかきたてるようにした。
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