四旬節の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 07:38 UTC 版)
「40」という数字は、旧約聖書の中で特別な準備期間を示す数字であった。例えば、モーセは民を率いて40年荒野を彷徨っている。ヨナはニネヴェの人々に40日以内に改心しなければ街が滅びると預言した。イエスは公生活を前に40日間荒野で過ごし、断食した。四旬節の40日間はそのような伝統に従い、キリスト教徒にとってはイエスに倣うという意義のある準備期間となっている。 「四旬節」の語源「クアドラゲシマ」(Quadragesima)はラテン語で「40番目」を意味し、元は初代教会で復活祭を前に行っていた「40時間」の断食のことであった。復活徹夜祭には成人の洗礼を行うのが初代教会以来の慣習であり、受洗者たちも初聖体に備えて40時間断食を行っていた。後にこの40時間(聖金曜日から復活祭まで)が6日間に延ばされた。さらに延びて6週間の洗礼準備が行われるようになった。四旬節は本来、復活祭に洗礼を受ける求道者のために設けられた期間であった。4世紀終わり頃のエルサレムでは復活祭前の7週間、毎週3時間の受洗準備が行われていたという記録がある。4世紀に入ってミラノ勅令によりキリスト教が公認されると、受洗者の数が激増して一人ひとりに対しての十分な準備が行き届かないようになったため、従来は求道者のみに課していた復活祭前の節制の期間を全信徒に対して求めるようになった。これが四旬節の起源である。 ヨーロッパのいくつかの言語では、ラテン語の「クアドラゲシマ」が変形した名称が用いられている。スペイン語の「クアレスマ」(Cuaresma)、アイルランド語の「カルハス」(Carghas、英語の複合語「クオドラジェシマ・サンデー」(Quadragesima Sunday)などである。また英語では「レント」(Lent)という語が用いられるが、この言葉は元々ゲルマン語で「春」を表す言葉に由来する。カトリック教会の説教は元々ラテン語で行われていたが、中世後期になって各言語での説教が行われるようになるとともに、四旬節の呼び名も各地の言語に基づいたものに変化していったと考えられる。
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