商業化をめぐる争い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 15:10 UTC 版)
「スナッピー (犬)」の記事における「商業化をめぐる争い」の解説
2009年末の時点でも、世界で犬クローンを作成できるのは李柄千と野に下った黄禹錫の2人だけであった。李を擁するソウル大は、スナッピーのクローニング手法の特許権を持っていると主張して、民間のペットクローン会社RNLバイオに専用実施権を与える契約を結んだ。黄禹錫はその競合会社である米国のバイオアーツ・インターナショナルと提携を結び、特許権の所有をめぐる法廷闘争を引き起こした。バイオアーツは羊のドリーに用いられたクローニング手法の特許を有する米スタート・ライセシング社から犬クローンの独占権を得たと主張していた。ソウル大は体細胞ではなく成体幹細胞に基づくクローニング手法を確立し、ドリーの手法とは異なる独自技術とみなしていたため、スタート社と対立した。スタート社はRNLバイオを権利侵害で告訴したが、判決を待つまでもなく、バイオアーツは2009年9月に犬クローン事業から撤退し、理由の一つにライセンス問題を挙げた。RNLは2008年8月から商用クローニングを開始したものの、2013年に経営不振に陥った。 黄は民間の後援者を得て2006年にスアム生命工学研究院を設立し、ドリー特許を所有しているバイアジェン社からライセンスを受けて研究を継続した。20人ほどのソウル大研究員も追随した。RNLバイオはソウル大から受けた独占権を盾に取って黄の活動を差し止めようとしたが、2009年8月に法廷で黄の技術の独自性が認められた。黄は絶滅危惧種などのクローンを精力的に作成する一方、ペットを亡くした飼い主に10万ドルの費用でクローンを提供するサービスを展開した。黄は今なおクローン技術で医学を発展させる目標を捨てておらず、ペットクローニングは資金確保のための方便に過ぎないと語った。スアム研究院は2015年までに700頭の犬をクローニングしたとされており、2016年にはさまざまな種のクローン胚を毎日約500個ずつ生産することが可能になっている。
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