君侯の一族男子の称号
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 08:45 UTC 版)
君主・諸侯としてのプリンケプスの称号とは別に、ヨーロッパでは君主や上位貴族の一族男子(息子、孫息子、夫など)もプリンケプス(やそれに相当する単語)の称号をもって呼ばれることがある。この意味の場合、ドイツ語ではプリンツ (Prinz) という。訳としては、「王子」「親王」「公子」などがある。 王政期のフランスでは、王子や王孫にはこのような称号は付与されなかったが(フィス・ド・フランスを参照)、傍系の王族にはプランス・デュ・サン(prince du sang 、「(王族の)血統のプリンス」の意)の称号が、公爵の子には単なるプランス (prince) の称号が用いられることがあった。フランス革命の後は、復古ブルボン朝期を除いて、「フランス人の王」の君主号に対応する王太子の称号として「プランス・ロワイヤル (prince royal)」の称号が用いられた。また帝政期には、プランスがボナパルト家皇族の称号として用いられている。 ドイツでは、皇帝、国王、大公爵、公爵、フュルスト などの一族の称号として広くプリンツ (Prinz) の称号が用いられる。 イギリスではドイツを発祥とするハノーヴァー朝から王族にプリンスの称号が導入された(それ以前にプリンスを称していたカンバーランド公ルパート、カンバーランド公ジョージ、ジョージとアン女王の息子グロスター公ウィリアム(英語版)などは外国の王侯の男子やその直系であった)。ただし、プリンセス・ロイヤルの称号はステュアート朝で創設されている。 これが現在日本語でも広く使われている、多くの場合に「王子」と訳される意味でのプリンスである。 スペインやポルトガル、ブラジル帝国では、王太子もしくは皇太子(推定相続人)にプリンシペ (príncipe) の称号が用いられているが(プリンシペ・デ・アストゥリアス(アストゥリアス公)など)、これはプリンス・オブ・ウェールズと同様に爵位としての意味である。特に注意が必要なのがポルトガルの場合で、Príncipe de Portugal、のちには Príncipe Real de Portugal といった称号(英語に直すと Prince of Portugal, Prince Royal of Portugal となる)が、王太子にのみ授けられていた。
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