向きを保つ変換と向きを逆にする変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 07:05 UTC 版)
「ユークリッドの運動群」の記事における「向きを保つ変換と向きを逆にする変換」の解説
運動群 E(n) は向きを保つ等長変換 (direct isometry, déplacement) 全体の成す部分群 E+(n) を持つ。これは n-次元空間における剛体を動かすものという意味で剛体運動 (rigid motions) などとも呼ばれる。この群には平行移動、回転がすべて含まれ、またこれらによってこの群 E+(n) は生成される。E+(n) は特殊ユークリッド群 (special Euclidean group) SE(n) とも呼ばれる。 またこれと対照に、向きを逆にする等長変換 (indirect isometries, opposite isometries) がある。E+(n) は E(n) の指数 2 の部分群であり、運動群を E+(n) で割った剰余類の自明でない唯一の類は、向きを逆にする変換の全体に一致する。即ち、任意の向きを逆にする等距変換(例えば向きを逆にする鏡映)R が一つ与えられれば、向きを逆にする任意の等長変換は向きを保つ適当な変換 D によって DR の形に書ける。 特殊ユークリッド群 SE(3) は古典力学における剛体の運動学で用いられる。剛体運動は実質的にこのユークリッド群における曲線と同じものである。物体 B が始点 t = 0 において適当な向きを持つものとし、各時刻における物体の向きはユークリッドの運動 f(t) に従って始点における向きから決まる(t = 0 において f(0) = I は恒等変換である)。 これはこの曲線が常に E+(3) 内にあることを意味する(実は恒等変換 I から始めるとき、このような連続曲線は向きを保つ変換以外に到達することはあり得ないのである)。これは簡単な位相的理由からくるもので、これら変換の行列式が +1 から −1 に跳ぶことはないということである。 これらユークリッド群の部分群は位相群であるのみならずリー群を成し、その議論の中に解析学の概念を直ちに持ち込むことができる。
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