合衆国連邦裁判所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/14 23:14 UTC 版)
「ムートネスの法理」の記事における「合衆国連邦裁判所」の解説
合衆国の連邦司法制度では、連邦裁判所の管轄権には憲法上の限界があるために、ムートになった事件は却下されなければならない。その理由は、合衆国憲法第3条が全ての連邦裁判所の管轄権を「事件及び争訟」に制限していることにある。それ故、当事者の権利に影響を及ぼさないような民事訴訟又は申立は、一般に認められている例外に当たらない限り、原則として裁判所の判断の権限外にあることになる。 このような事件として教科書で引用される事例の一つが、DeFunis対Odegaard事件の連邦最高裁判所判決である。原告は、ロースクールへの入学を拒まれた学生であるが、当該事件が係属している間の仮入学を認められていた。原告は、判決が言い渡された時点において数か月内に卒業することが予定されており、ロースクールはこれを阻止し得る何らの措置もとっていなかったことから、最高裁は、この点に関する裁判は原告の権利に何らの影響も及ぼさないものと判断したのである。それゆえ、事件はムートであるとして却下された。 しかしながら、基準の源という点においても、裁判所におけるその適用という点においても、異論が存在する、裁判所や評者の中には、これは憲法上の制約であって、「事件または争訟」が存在しないのであるから、事件は必ず却下されなければならないと論じるものがある。他方で、憲法論に純化した問題設定を拒否し、いわゆる「慎重な」観点を採用して、却下すべきか否かは、特定の人がその事件で現在の利益を失ったか否か、あるいは論点それ自体が特定の人の利益を離れて存続するものであるか否か、当該状況が再発し得るものであるか否かといった、多数の要素の総合考慮によるとするものもある。実務においては、合衆国の連邦裁判所の判断が一様でないために、判決が「その場しのぎ」で「結論ありき」になっているとの非難を招いている。 ムートネスの法理には、四つの主要な例外がある。第一に、被告の側で「自発的停止」を行う事件である。第二に、二次的な又は付随的な法律効果を伴う問題がある。第三に、今のところは審査をくぐり抜けており、繰り返し起こり得る問題である。第四に、選定当事者が集団を代表することを止めてしまった集団訴訟に関連する問題である。
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