各国政府からの指示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/29 13:53 UTC 版)
「1950年の国際連合事務総長の選出」の記事における「各国政府からの指示」の解説
10月23日、常任理事国は協議のために会合を開いた。ソ連はメキシコのルイス・パディーラ・ネルボ(英語版)、レバノンのチャールズ・マリク(英語版)、インドのB・N・ラウ(英語版)を指名した。中国はフィリピンのカルロス・P・ロムロを指名した。アメリカはリーのみを支持すると述べた。イギリスはリーを支持していたが、他の候補者に対して拒否権を行使しなかった。ソ連はリー以外の候補者に投票するつもりだった。中国は、パディーラ・ネルボ、マリク、ロムロのいずれかに投票するつもりだった。フランスは、安全保障理事会で7票を獲得できる候補者ならば、誰にでも投票するつもりだった。 アメリカはフランスの立場を心配して、フランス政府に指示を変えるように迫った。アメリカは、他の候補者、特にパディーラ・ネルボに辞退を求めた。キューバとエクアドルがラテンアメリカの候補者に投票することが期待できたため、パディーラ・ネルボは安全保障理事会で少なくとも6票を獲得し、フランスの投票で7票の過半数を得ることができた。ディーン・アチソン国務長官は、「ラテンアメリカの候補者はアメリカには受け入れられない」と断言し、ラテンアメリカ諸国について「アメリカの拒否権に突き当たって非常に恥ずかしい思いをすることになるだろう」と述べた。ハリー・S・トルーマン大統領もアチソンに同意し、拒否権の行使を認めた。アチソンはアメリカ代表団に、国連でのソ連の勝利が「朝鮮半島での我々の勝利を損ねるようなことがあってはならない」と指示した。 アメリカはそれまで、自国の安全保障が脅かされる場合以外は拒否権を行使しないと表明していたため、この拒否権行使の脅迫は物議を醸した。しかし、これによりラテンアメリカ諸国はアメリカ支持に回った。フランスが国連大使に「リー以外の候補者には棄権するように」と指示し、パディーラ・ネルボが辞退したことで、アメリカの立場はより強くなった。しかし、チャールズ・マリクは、ソ連が反共産主義者の候補者にも投票を申し出ていることを指摘し、「このような珍しい現象を利用する機会を軽々しく逃すべきではない」と述べた。
※この「各国政府からの指示」の解説は、「1950年の国際連合事務総長の選出」の解説の一部です。
「各国政府からの指示」を含む「1950年の国際連合事務総長の選出」の記事については、「1950年の国際連合事務総長の選出」の概要を参照ください。
- 各国政府からの指示のページへのリンク