史村翔とは? わかりやすく解説

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武論尊

(史村翔 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/10 02:40 UTC 版)

ぶろんそん
武論尊
本名 岡村 善行[1]
別名義 史村 翔
生誕 (1947-06-16) 1947年6月16日(78歳)
日本長野県南佐久郡野沢町
(現・佐久市[1][2][3]
国籍 日本
職業 漫画原作者
活動期間 1972年 -
ジャンル 少年漫画青年漫画
代表作 ドーベルマン刑事
北斗の拳
サンクチュアリ
HEAT -灼熱-
※いずれも原作担当。
受賞 第47回小学館漫画賞
2001年、『HEAT-灼熱-』)
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武論尊(ぶろんそん、本名:岡村 善行(おかむら よしゆき)、男性1947年6月16日 - )は、日本漫画原作者血液型はO型。別ペンネームは史村 翔(ふみむら しょう)。

代表作に『ドーベルマン刑事』、『北斗の拳』、『サンクチュアリ』、『HEAT-灼熱-』など多数。

来歴・人物

長野県南佐久郡野沢町(現・佐久市)出身[1][2][3]。貧しい農家の末っ子で佐久市立野沢中学校を卒業後に高校へ進学せず、15歳の時に自衛隊生徒として熊谷基地航空自衛隊に入隊[4][注釈 1]。自衛隊時代は三等空曹として福岡県と佐賀県の境にある航空自衛隊背振山レーダー基地に勤務。よど号事件発生時にもレーダーの運用を行っていた。

7年間在職した自衛隊を除隊後、コンピュータの専門学校に通ったが、1971年の暮れ頃、自衛隊生徒時代の同期であった本宮ひろ志の仕事場にアシスタントとして転がり込む。だが、絵は苦手で昼間から麻雀ばかりしていたという[5]。人に好かれる話術に長けていたことと[6]、本宮が『武蔵』[7]を連載する際の資料集めが丁寧だったことから、担当編集者であった西村繁男から指南を受け、漫画原作者への道を紹介される。

1972年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)掲載の『五郎くん登場』(作画:ハセベ陽)で原作者デビュー。しばらくは原作者として成功できず、出す作品も短期打ち切りが続いていたが、1975年、平松伸二と組んだ『ドーベルマン刑事』(週刊少年ジャンプ)がヒット。人気原作者の仲間入りを果たす。

1983年、編集者の堀江信彦に請われ、『北斗の拳』(週刊少年ジャンプ)の原作を担当。大ヒット作となる。

1990年、池上遼一と組み『サンクチュアリ』(ビッグコミックスペリオール)を連載。これ以降、池上の漫画原作を多く手掛ける。

2017年7月20日、「進学が困難な若者に、勉学に励んで夢をかなえてほしい」と、出身地の佐久市に4億円を寄付[1][8]。これを原資に佐久市は返還不要の給付型奨学金制度「佐久市SAKUコスモス育英基金」を設立、2018年度から運用開始[9]。同時に漫画家や漫画原作者を目指す若者らを対象とする「武論尊100時間漫画塾」が開講されることになった。その運営費は武論尊本人が負担する[1]。2022年、奨学金制度を継続するため、更に4億円を寄付した[9]。以降も「SAKUコスモス育英基金事業」を充実させるために継続的に寄付を行っている[10]

2018年4月15日、「武論尊100時間漫画塾」を開塾[11]。2024年3月には、長野県佐久市岩村田に4億円の私財を投じ「さくまんが舎」を建設[12]。同施設は「武論尊100時間漫画塾」教室の他、ミュージアムも併設されている。同施設には北斗の拳で最も好きなキャラクターであるという「ジャギ」のステンドグラスが埋め込まれている[13]。これは“ギヤマン学校”と呼ばれた佐久市中込にある重要文化財旧中込学校」のオマージュである[14]

人物

『北斗の拳』のパチスロなど、それらに対する版権許諾要望等には柔軟な対応を示す一方、それが台詞の改変を含む「オリジナルの変更」を伴う場合は厳しい姿勢で臨むことでも知られている。この対応には、インタビューで「作画者および読者に対する当然の配慮」であると述べている。

大のアンチ巨人で、『週刊ヤングマガジン』の「好きなテレビ番組」の質問に「巨人の負け試合」と答えている。

無類の競馬好きで、多くの騎手とも親交がある。地方競馬、中央競馬の馬主資格も取得している。

ペンネーム

「武論尊」のペンネームは、本宮プロで居候時に映画『さらば友よ』を見に行き、チャールズ・ブロンソンに似ているという話になって本宮プロのスタッフから「ブロンソン」のニックネームで呼ばれるようになり、「ブーちゃん」というニックネームとして定着していたため、デビュー時に漢字を当てて「武論尊」(ぶろんそん)とした。なお似ていると言い出したのは自称らしく、他のスタッフに言わせたのが始まりとのこと[15]

「史村翔」のペンネームは、1973年に『週刊少年マガジン』でシリーズ連載した『球豪伝』の際に、本名である岡村善行をローマ字「OKAMURA YOSHIYUKI」にして、そのアルファベットから組み替えて作った(いわゆる「アナグラム」)「SHIMURA SYO」(しむら しょう)に漢字を当てたものが初めに考案された。講談社の担当が「し」に当てる漢字を「史」に変更して「ふみ」と読むことを提案して、「史村翔」(ふみむら しょう)に決定された[16]

作品によって「武論尊」と「史村翔」の名義を使い分ける。これは人気漫画となっていた『ドーベルマン刑事』連載中に『週刊少年ジャンプ』編集部が他誌での連載を許さない「専属契約」締結を求めたが、他誌でもやりたいこと(『ファントム無頼』)があったため拒否して揉めた事が原因である。結局フリーのまま『ドーベルマン刑事』を続けることになり、「武論尊」名義では主に集英社での連載で、「史村翔」名義では集英社以外での連載で使い分けることになった[17]。しかし「strain」執筆時に作画担当の池上遼一よりリクエストを受け「武論尊」名義を使用してからは、アクション系の作品では「武論尊」、それ以外でのコメディー系やシリアス系の作品では「史村翔」と作風によって使い分けている。

原作作品リスト

武論尊名義

史村翔名義

その他

シングル

うわさ
(c/w)おんな - シングルレコード。南十字音楽出版(自主制作)。NW-1011。本人歌唱

脚注

注釈

  1. ^ 新潮社サイトでは16歳の時と表記されている。

出典

  1. ^ a b c d e 桜庭泰彦 (2017年7月21日). “「北斗の拳」原作・武論尊さん、佐久市に4億円寄付 給付型奨学金を創設へ”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 長野東北信版 
  2. ^ a b ヤングサンデー 作家プロフィールページ」を参照。
  3. ^ a b 武論尊原作展 デビューからの軌跡 武論尊/史村翔の世界”. 佐久市立近代美術館 油井一二記念館. 2021年10月12日閲覧。
  4. ^ 信州人 : 漫画原作者 武論尊さん”. ぷらざINFO. 2021年10月12日閲覧。
  5. ^ 15歳で自衛隊入隊「最初は人間扱いされなかった」 『北斗の拳』武論尊氏が漫画と出会うまで”. ENCOUNT. Creative2 (2025年8月3日). 2025年8月10日閲覧。
  6. ^ 『北斗の拳』武論尊氏がヒット作を連発できたワケ 読者に寄り添うサービス精神「俺はうそつき」”. ENCOUNT. Creative2 (2025年8月10日). 2025年8月10日閲覧。
  7. ^ 『週刊少年ジャンプ』1972年5号~29号連載。
  8. ^ 「北斗の拳」の武論尊さん、出身地に4億円寄付読売新聞2017年7月20日
  9. ^ a b 「北斗の拳」原作者、故郷の市に再び4億円寄付…市長「奨学金で子どもの人生変わるお導き」”. 読売新聞オンライン. 読売新聞社 (2022年11月15日). 2025年8月10日閲覧。
  10. ^ 企業版ふるさと納税”. 佐久市ホームページ. 佐久市役所 (2025年4月10日). 2025年8月10日閲覧。
  11. ^ 武論尊100時間漫画塾”. 佐久市ホームページ. 佐久市役所 (2025年3月25日). 2025年8月10日閲覧。
  12. ^ 「北斗の拳」原作者の武論尊さん私財4億円投じて漫画塾の拠点施設「俺がここで学びたいくらい…」漫画家の卵が集う「さくまんが舎」完成、教室や作品の展示室も併設、6月からは一般公開も”. SBC NEWS. SBC信越放送 (2024年3月5日). 2025年8月10日閲覧。
  13. ^ 「北斗の拳」原作者の武論尊さん、佐久市に「さくまんが舎」 漫画塾開講も”. 軽井沢経済新聞. みんなの経済新聞 (2024年3月9日). 2025年8月10日閲覧。
  14. ^ 竣工事例”. 中山秀樹建築デザイン事務所. 2025年8月10日閲覧。
  15. ^ 『原作者・武論尊、もしくは史村翔』を参照。
  16. ^ 『原作者・武論尊、もしくは史村翔』および『原作者・武論尊、もしくは史村翔』を参照。
  17. ^ 『原作者・武論尊、もしくは史村翔』を参照。
  18. ^ M25やくざ作戦 - メディア芸術データベース”. mediaarts-db.bunka.go.jp. 2022年12月15日閲覧。
  19. ^ メディア芸術データベース”. mediaarts-db.artmuseums.go.jp. 2025年2月26日閲覧。

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