古墳の復元と葺石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 10:53 UTC 版)
1965年(昭和40年)から1975年(昭和50年)にかけて、神戸市の五色塚古墳の復元・整備事業がすすめられた。古墳を、築造当時のすがたにもどすことを意図したこの事業は、考古学的な調査成果を復元に生かす方針が採用され、三段築成よりなる墳丘には葺石をふきあげ、円筒埴輪をたて並べて周濠には芝生を植えて史跡公園として整備することが目指された。この方針は、整備の進捗状況と複雑にからんで、調査方法もトレンチ調査から全面調査へと変更された。また、当初事業計画は6年計画、総工費7600万円と見込まれていたものが、葺石の流出という失敗を招いた結果、墳丘に盛土して葺石を新設して部分的にコンクリートでかためるなどの紆余曲折を経て、最終的には10年間の歳月を要し、総工費2億5200万円におよんだ。五色塚古墳の葺石の復元で使用した石は約223万個、重量にして約2,784トンにおよぶが、前方部のものは発掘調査によって出土した既存の葺石を使用し、後円部のものは新たに持ち込まれたものである。 五色塚古墳の復元・整備の事例は、史跡整備の代表例の筆頭にあげられることが多く、問題点・反省点も含めてその経験は現代の文化財行政に大きな影響をあたえている。
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