古墳の名前
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 15:43 UTC 版)
日本にある近現代の遺跡の名称は、その遺跡の古来の所在地名に倣って、その地の大字(おおあざ)や小字(こあざ)を付けることを原則にしている。これは、大字や小字が、その地の古来の地名(※人々が暮らすうちに自然に生まれてきた地名、幕藩体制の下で作り出された地名、その他)を残した近代行政地名(※近代行政の施行に則して設けられた地名)であるが所以である。 古墳も決して例外ではないが、「○△山」「×□塚」などといった古来の名称が当該地域に伝承されているものが多く、そのような古墳の固有名詞的構成要素は当該地域の字名と同一であるケースが当然に多い。しかしそれが、例えば「天神山」「浅間山」「稲荷山」「観音山」「大塚山」「茶臼山」「丸山」「二子山」「築山」「狐塚」「鬼塚」「富士塚」「庚申塚」「二子塚」「車塚」「塚穴」などといった地名は日本各地に非常に多い。また、なかには同じ令制国内や同じ郡内に複数存在する場合まであり、そういったものは市町村合併が進行に連れてますます増化傾向にある。狭い地域内だけで管理するには大して問題にならない「地名の重複」であるが、全国など広範に管理するのには、どこの「○△山」かどこの「○×塚」かなどと個別に呼び分けることが欠かせないため、「井辺八幡山古墳」「埼玉稲荷山古墳」「江田船山古墳」「百舌鳥大塚山古墳」などと、大字またはそれより上位の地名を付して呼称するのが通例となった。もっとも、それらはあくまで管理上の名称であって、当該地域に“正しい”名称として押し付けるような種類のものではない。 長崎県壱岐市にある「掛木古墳」や「平山古墳」のように、元の土地所有者の名字を固有名詞的構成要素とする珍しい古墳名もある。
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