古代インドでの大乗非仏説論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 14:23 UTC 版)
「大乗非仏説」の記事における「古代インドでの大乗非仏説論」の解説
古代インドで成立した大乗仏典の中には、部派仏教側からの「経典を捏造している」という非難の言葉も記されている。 例えば、鳩摩羅什訳『法華経』勧持品第十三の偈には、『法華経』を受持する大乗仏教の信者は、将来「大乗非仏説」論者から以下のような誹謗中傷を受けるだろう、という予言の言葉を、次のように載せる。 鳩摩羅什訳『法華経』勧持品第十三の偈の一部原漢文書き下し文而作如是言 而(しか)も是(かく)の如き言を作(な)さん 此諸比丘等 「此(こ)の諸〻(もろもろ)の比丘等(びくら)は 為貧利養故 利養を貧るを為(も)っての故に 説外道論議 外道の論議を説く 自作此経典 自(みずか)ら此の経典を作って 誑惑世間人 世間の人を誑惑(おうわく)す 為求名聞故 名聞(みょうもん)を求むるを為っての故に 分別説是経 分別して是の経を説く」と 『法華経』サンスクリット原文からの該当部分の翻訳は、 「情けないことに、これらの出家者たちは、仏教以外の外道を信ずるもので、自分たちの詩的才能を誇示している。自分で諸々の経典を作って、利得と称賛を求めて、集会の真ん中でそれを説いている」と、私たちを譏るでありましょう。 である。この「『法華経』の信者は将来〝非仏説〟という誹謗中傷を受けるだろう」という予言は、古代インドの『法華経』編纂者じしんが体験した〝非仏説〟のそしりを、予言の形を借りて記録したものと考える研究者もいる。
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