反粒子(はんりゅうし)
電子、陽子、中性子やニュートリノなど、物質を構成する素粒子には、それぞれ反粒子が存在する。電子に対する反粒子のことを陽電子、陽子に対する反粒子のことを反陽子などと呼んでいる。
粒子と反粒子は、エネルギーの塊から対になって発生する。逆に、粒子と反粒子が出会うとエネルギーに変わり消滅する。反粒子によって構成される物質を反物質と言い、反水素分子などが実験的に作られている。
反粒子は、宇宙線の中に混じっていたり、粒子加速器で人工的に作り出したりする以外は、身の回りには存在しない。しかし、宇宙初期のビッグバンで、そのときに放出された大量のエネルギーから粒子と反粒子は同じ数だけ発生していたはずだ。そこで、粒子と反粒子のほんのわずかな違い(CPの破れ)が、現在の通常粒子が多勢という宇宙を作り出したと考えられている。
CPの破れは、小林・益川行列というモデルで理論的に解明されている。今回の実験は、この理論を実験的に検証したものだ。小林・益川理論は、クォークの世代数など他領域への示唆にも富んでおり、湯川秀樹、朝永振一郎に次いで日本の素粒子物理学にノーベル賞が与えられる可能性も出てきた。
(2000.08.01更新)
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