原作執筆のスタイル
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「アラン・ムーア」の記事における「原作執筆のスタイル」の解説
アメリカン・コミックのスクリプト(原作脚本)は出版社や書き手によって形式が異なるが、ムーアは長大細密な散文を書くことで知られている。通常の5–6倍の長さがあり、コマ割りや各コマの構図、ディテールが事細かに指示されている。さらに作画家が参考にするための背景知識や演出意図、シーンの雰囲気までもが豊富に盛り込まれている。『フロム・ヘル』を共作したエディ・キャンベルの言によるとほかの原作者なら「雨が降っている」と書いて済ませるところでも、ムーアのスクリプトでは「雨音は気が滅入るようなロシアの長編小説のリズムで途切れ途切れのモールス信号を打電する」となる。DCコミックスで『スワンプシング』を担当した編集者カレン・バーガーは次のように語っている。 すべてのコマが隅から隅まで絵として描写されていた。アランは確か、挫折した作画家だったはずだ。… 作画家になろうとしてこの世界に入ったので、原作のアプローチもまるで絵を描いているかのようだった。… その上で、やはり優れた作家だったから、アートディレクションの文章なのに読んで面白かった。 —カレン・バーガー(2012年) ポエトリー・リーディングの経験から文章のリズムや強勢を重視しており、自ら音読しながら書いている。重要な科白には弱強格の韻律が用いられる。キャリア初期には一人芝居をしながら登場人物の所作や声色を想像するメソッド演技法を行っていた。 自身のコミック作品が作画家との共同制作物であることを常に強調している。スクリプト執筆の前には作画家と電話やファックスでアイディアを交換するのがほとんどで、ペンを取ってからも相手に合わせて書き方を変えている。想像力の相乗効果を生むため、共作者には原作から自由に逸脱するよう勧めてもいる。原作者と作画家が主導権や貢献度を巡って争うことは珍しくないが、ムーアと共作者の関係は概して円満なものである。
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