単葉と複葉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 14:41 UTC 版)
葉身が深く裂け、葉脈に達すると、葉身はいくつかの部分に分かれてしまう。このような葉を複葉(ふくよう)と呼び、それに対して、葉身がひとつながりの葉を単葉(たんよう)という。 複葉の葉で、分かれている葉身の各部分を小葉(しょうよう)という。複葉の葉では、でたらめに葉が分かれるものは少なく、大抵の場合、同じ形の小葉が規則的に繋がったような形になる。つまり、大きいのが分かれたと見るより、小さいのが並んでいると見た方が分かりやすい。そこで、小葉の並び方で様々な呼び名が付けられている。また、小葉の形は葉の形と同じように表現する。 葉柄の延長になる軸(葉軸)から、左右に小葉がいくつか並ぶものを羽状複葉(うじょうふくよう)という。軸の先端にある小葉を頂小葉、左右に並ぶ小葉を側小葉という。頂小葉があれば、小葉全体の数は大抵奇数になるので奇数羽状、それがなければ偶数羽状という。 小葉が左右1枚、先端1枚のものを三出複葉(さんしゅつふくよう)という。多くの場合、これは羽状複葉の側小葉が一対のみになったものと見られる(例;クズ)。しかし、三枚の小葉がほとんど同じ形になって、その区別が難しいものもある(例;カタバミ)。 小葉が葉柄の先端の1点から3枚を超えて出るものを掌状複葉(しょうじょうふくよう)という(例;トチノキ)。 さらに細かく分かれたものもある。葉柄に続く軸から左右交互に枝が伸び、その枝に沿って左右に小葉が並ぶものは、羽状複葉の葉が羽状に並んでいることになるので、これを二回羽状複葉という。シダ植物では三回、四回羽状複葉のものもある。 三出複葉の場合も、三つ股の枝の先にさらに3枚の小葉をもつ二回三出複葉のもの、さらにそれが3つに分かれた三回三出複葉などがある。 小葉の基部に関節があったりすると、単葉と見誤る場合がある。また、逆に、単葉が並んだ枝が羽状複葉に見える場合もあり、区別には注意が必要である。そのような場合、それが葉であれば、枝との接点に芽があるはずである。花や実が付くのは枝なので、それに気を付けるとよい。 なお、植物標本を作る場合、シダ植物では葉1枚で標本とすることもあるが、被子植物では、枝と葉の関係や、葉が対生するかどうかなども重要なので、採集の際は少なくとも枝を含めて葉1枚を切り取らねばならない。複葉の一部を切り取った標本が時折見かけられるが、その種の特徴を表すという意味では、ほとんど価値がない。
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