南極隕石氷河運搬集積モデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/23 05:25 UTC 版)
「南極隕石」の記事における「南極隕石氷河運搬集積モデル」の解説
矢内は以下のような集積モデルを考案し、「南極隕石氷河運搬集積モデル」と命名した。吉田勝や永田武もこの疑問に対して取り組み、矢内よりも先に同様の集積モデルを論文で発表していた。 南極隕石は、南極横断山脈ややまと山脈など南極大陸にある山脈の、麓の裸氷帯で見つかることが多い。しかし隕石は山脈の麓によく落ちるということはなく、南極大陸全体に偏りなく落ちる。氷河も氷床もゆっくりと川のようにより低い方へ流動し、隕石も一緒に移動する。氷河の流れる速さは、内陸では数十メートル毎年、最も速いといわれる白瀬氷河の末端は3キロメートル毎年である。 氷河のうち、山脈にぶつかったものは年数センチメートルから10センチメートルの速さで山脈を登る。上昇しきって氷面に露出すると、カタバ風や日射などによって年数センチメートルから10センチメートルの割合で氷のみが削剥・消耗・昇華(アブレーション)する。しかし含まれている隕石はそのまま氷の上に留まる。このような機構によって、隕石は山脈付近に集合するのである。 南極隕石には落下年代が100万年よりも古いものがあることから、隕石は数十万年から数百万年のあいだ集積されつづていると考えられている。矢内は、南極大陸の氷にはまだ見ぬ南極隕石が数百万個以上あるはずだ、と2002年の時点で述べている。 やまと山脈の隕石フィールドに2平方キロメートルの区域を設定し、1976年1月に隕石をとりつくして4年後に同じ区域で隕石採集を行った所、17個発見された。このことから、やまと山脈では1平方キロメートルから1年に約2個の隕石が出てくると言える。なお山脈にぶつからなかった氷河は海へ氷山として流れだす。氷山はやがて溶けるため、南極海やその周辺は他の海域よりも多くの隕石が沈んでいると考えられる。
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