動物が化けた大入道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 03:35 UTC 版)
岩手県の事例 岩手県紫波郡に伝わる口碑、鳥虫木石伝「鼬の怪」より。 同郡徳田村大字高田(現・矢巾町)の高伝寺に毎夜本堂に怪火が燃え上がって、その影から恐ろしい大入道が現れるので、寺では檀徒を頼んで夜番を行ってもらっていた。何しろ毎夜のことなので人々も不審に思い、キツネだろうタヌキだろうという評判であった。 ある冬の小雪のサラッと降った朝、寺の周囲を見て歩くと、イタチが本堂から抜け出していった足跡があった。後を追って行くと隣家の木小屋の薪を積んだ下に入ったので、村人多数で取り巻きつつ、その薪を取り退けて見るとイタチの巣があった。巣の中から古イタチを捕らえて殺した。 するとその夜から寺の怪火も大入道も現れなくなった。 宮城県の事例 かつて仙台の荒巻伊勢堂山に、夜毎に唸り声を発する大岩があった。さらにはその大岩が雲をつくような大入道に化けるという話もあった。 当時の藩主の伊達政宗はこの怪異を怪しんで家来に調査させたが、戻って来た家来たちは、大入道の出現は確かでありとても手に負えないと皆、青ざめていた。 剛毅な政宗は自ら大入道退治に出向いた。現場に着くとひときわ大きな唸り声と共に、いつもの倍の大きさの入道が現れた。政宗が怯むことなく入道の足元を弓矢で射ると、断末魔の叫びと共に入道は消えた。岩のそばには子牛ほどもあるカワウソが呻いており、入道はこのカワウソが化けたものであった。以来、この坂は「唸坂(うなりざか)と呼ばれたという。 この唸坂は仙台市青葉区に実在しているが、坂の名を示す碑には、かつて荷物を運ぶ牛が唸りながら坂を昇ったことが名の由来とあり、妖怪譚よりもこちらのほうが定説のようである。
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