動物からヒトへのインフルエンザウイルスの伝播における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 02:11 UTC 版)
「抗原不連続変異」の記事における「動物からヒトへのインフルエンザウイルスの伝播における役割」の解説
A型インフルエンザウイルスはアヒル、ニワトリ、ブタ、クジラ、ウマ、アザラシを含む多くの動物から見つかっている。 野生の鳥類から発見されたA型インフルエンザウイルスではヘマグルチニンは16の異なる亜型が、ノイラミニダーゼは9の異なる亜型が認められている。野生の鳥類は全てのA型インフルエンザウイルスの亜型レゼルボアであり、他の動物への伝播の源と考えられている。多くのインフルエンザウイルスは鳥類に対しては無症状あるいは軽度の症状しか引き起こさないが、鳥類への症状の程度はウイルス株により大きく異なる。感染するA型インフルエンザウイルスによっては(例えばH5あるいはH7の株)、野生の鳥類および家禽であるにニワトリやシチメンチョウに広範な症状や死を招く。 ブタはヒトのインフルエンザウイルスと鳥類のインフルエンザウイルスに加えてブタのインフルエンザウイルスに対する感受性を有する。感染したブタの症状は咳、発熱、鼻水などヒトの症状と類似する。ブタは鳥類、ヒト、ブタのインフルエンザウイルスに感受性を有することから、異なる株(例えば、アヒルとヒト)のインフルエンザウイルスに同時に感染する可能性がある。同時に異なる株が感染した場合には、両者の遺伝子の混合により新たなウイルスが生み出される可能性がある。 例えば、ヒトのインフルエンザウイルスと鳥類のインフルエンザウイルスが同時にブタに感染し、抗原不連続変異によって大部分がヒトのインフルエンザウイルス由来の遺伝子を有し、ヘマグルチニンあるいはノイラミニダーゼは鳥類のインフルエンザウイルスに由来した場合には、この新しいインフルエンザウイルスは感染したヒトから別のヒトへ伝播することが可能であるが、表面抗原(ヘマグルチニンあるいはノイラミニダーゼ)は以前にヒトへと感染したインフルエンザウイルスと異なるため、多くのヒトで免疫系が機能しないあるいはわずかしか機能を示さない。この新たなウイルスは容易にヒトからヒトへと伝播し、インフルエンザのパンデミックを引き起こす可能性がある。
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