劣化ウラン合金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 14:19 UTC 版)
アメリカやロシアなどの一部の国では、タングステンより容易に入手できる劣化ウラン(Depleted uranium)合金を侵徹体に用いているが、重金属としての毒性や残留放射能が、戦闘員や現地住民に健康被害を及ぼしているとする意見もある(湾岸戦争症候群を参照)。劣化ウラン合金には、侵徹時の穿孔過程で先端外縁部が断熱せん断により早期に脱落するために先鋭化する「セルフ・シャープニング効果」(Self sharpening effect)によって、1600m/s程度以下の速度域ではタングステン合金に比べて穿孔が小さく侵徹のエネルギーが深さ方向に有効に働いてより厚い装甲板を貫けるという特性がある(タングステン合金においても、バインダーを劣化ウランや金属ガラスとすることで断熱せん断を生じるようになり、セルフ・シャープニング効果を生じることが報告されている。2001年にダイキンによりバインダーとして金属ガラスを用いたセルフ・シャープニング現象の発生技術およびその製造方法が特許出願されている)。また、装甲板を貫徹した後、破砕あるいは微細化した破片が運動エネルギーの熱変換によって熔融・焼夷効果を発生させる特性(詳しくは劣化ウラン弾を参照のこと)もあり、この点でも敵の無力化に有効だとされる。
※この「劣化ウラン合金」の解説は、「APFSDS」の解説の一部です。
「劣化ウラン合金」を含む「APFSDS」の記事については、「APFSDS」の概要を参照ください。
- 劣化ウラン合金のページへのリンク