分析哲学と大陸哲学の分岐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 15:17 UTC 版)
「現代思想」の記事における「分析哲学と大陸哲学の分岐」の解説
(画像左から)カント、フレーゲ、フッサール。この3人が分析哲学と大陸哲学の分岐点を作った。 サイモン・クリッチリーによれば、分析哲学と大陸哲学の分岐地点は二つあるとされている。一つはイマヌエル・カントの哲学に対する二通りの反応と評価であり、英米哲学は『純粋理性批判』の成功した「認識論」に、大陸哲学は『判断力批判』の「実践」にそれぞれ強い関心を持った。 もう一つはフランツ・ブレンターノらの心理主義に対する二人の哲学者の異なった反応で、そのうちの一人は大陸哲学のフッサールであり、もう一人は分析哲学のフレーゲである。この二人からそれぞれの哲学の流れは分岐し、ダメットはそれをフッサールを黒海に注ぐドナウ川に、フレーゲを北海に注ぐライン川に喩えている。フッサールの影響は今日大陸哲学のみならず、英米哲学にも広く及んでいるが、フッサールは、数学・論理学の基礎を生物学的・心理学的な過程に求めようとする心理主義、殊に意味・思想までも表象ととらえることに強く反対していたが、この点はフレーゲも同様であった。しかし、両者は、意味・思想という論理的なものと心理的なものを厳密に区別するという点において共通していたが、フレーゲは、心理的なものから論理的なものの領域を守るという関心から、言語表現の内包(意味)が外延(指示対象)を決定すると考えて現在の分析哲学の基礎を作った。これに対し、フッサールは、心理的なものと論理的なものがどのように相互に影響を与えるのかという関心から、ノエシス / ノエマの関係の解明に向かい、現象学を創始することになったのである。
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