出土した石器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 22:26 UTC 版)
予備調査で5点(玉随製剥片、石英製の石核、小さな剥片色々、石英の塊;敲石ハンマーストーンなど)の石器が見つかり、本調査では珪化流紋岩や玉髄などの剥離面をもつ剥片や石核、加工のある礫片が見つかった。 9月25日の午後、珪化流紋岩とは明確に区別できる緻密な流紋岩製の尖頭スクレイパーが出土した。淡青色の石片で、珪化流紋岩とはまるで石質が異なり、大分県の大野川流域で後期旧石器にたくさん使われている緻密な無斑晶流紋岩そっくりだった。岩面にはVb層の赤土色の粘土がべったり付着していた。出土時点では淡青色をしていたが、日が経るに従って退色し灰白色に変わってしまった。 下層のⅥb層から出土した石器群を第Ⅰ文化層、上層のⅥaを第Ⅱ文化層と名付けた。第Ⅰ文化層から出土した石の内訳は、礫器(チョッピング・トゥール)1点、削器(スクレイパー)2点、剥片1点、砕片2点の計6点。石材は玉随、珪化流紋岩から成る。尖頭スクレイパーは、長さ5.9センチ、幅3.2センチ、厚さ1.5センチで、極めて緻密な珪化流紋岩。 第Ⅱ文化層に包含された遺物は、嘴状石器1点、削器3点、彫器様石器2点、剥片10点、石核3点、断塊(チャンク、英: chunk、塊の意)10点、敲石(ハンマー・ストーン)1点の計30点。石材は多様で、珪化流紋岩を主体に玉随、石英からなる。 これらの石材による石器は日本列島の旧石器時代遺跡ではほとんど使用されないため、研究者の目が慣れておらずに見解が一致せず、これらの石器を自然石と見る意見も強い。その一方で、上峯篤史が開発した斑晶観察法によって珪化流紋岩の観察法が確立され、砂原遺跡の出土石器に人為的な製作パターンが見いだされた。この方法については、専門家からも評価がされている。
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