出土した遺物とその特色
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 08:47 UTC 版)
「七観山古墳」の記事における「出土した遺物とその特色」の解説
出土した遺物は、鉄製甲冑(衝角付冑7、短甲6以上など)、鉄製素環頭大刀、鉄刀(130前後)、蛇行状鉄剣、鉄剣、鉄鉾、鉄鏃(百数十)などの大量の武器、武具が出土している。このうち衝角付冑の中には、鉢の部分が動物の毛皮で作られたと見られる珍しいものも含まれている。また鉄斧、手斧、やりがんな、金銅製帯金具、それに鐙などの馬具も出土している。そのほかに、滑石製勾玉、剣形鉄製品が採集されている。 馬具の鐙は日本国内で出土している物の中でもっとも古いものとされている。また帯金具は龍文透彫鍔板(りゅうもんすかしぼりかばん)に心葉形垂飾(しんようけいすいしょく)の付いた優品としてよく知られており、韓国慶尚北道の林堂洞7B号墳出土の帯金具と酷似し、同じ工人集団によって製作された可能性が指摘されている。日本列島で製作されたとする説と朝鮮半島説があるが、鍍金・金銅張り、鋳造・鍛造、たがねによる透彫などの彫金、鋲留技法など当時の中国・朝鮮の最先端の金工技術が駆使されているという。なお、この帯金具は短甲の腰の部分に巻きつけられた状態で出土しており、奈良県五条猫塚古墳や岡山県一本松古墳でも帯金具が同様の状態で出土しており、軍装の一部として扱われていたと考えられる。 この古墳の性格としては、大量の副葬品の埋納にもかかわらず、遺体が埋葬されなかった可能性があり、陪塚と考えられる古墳のあり方を示す貴重な一例となっている。なお、七観山古墳の跡地は現在、大仙公園の敷地にとり込まれ、消滅した古墳と同規模の築山が造られている。
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