出土人骨について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 23:26 UTC 版)
玄室内からは4体の人骨が発見された。玄室の一番奥、後室にあったA人骨は8歳前後の男性、その隣のB人骨は身長約150センチの40代の男性、後室の前室に近い場所にあったC人骨は身長160センチ前後の30代と見られる男性、そして一番玄室の入り口近く、前室と後室の境界付近にあったD人骨は身長150センチ程度の20代前半の女性と見られている。 4体の人骨の埋葬順は、発掘された状況からAとBの人骨が先に埋葬されたことが明らかになっている。続いてC人骨、そして最後にD人骨が埋葬された。C人骨が埋葬された時点でB人骨が一部移動された形跡が残っており、B人骨の移動状況からは、C人骨埋葬時点でB人骨の靭帯や軟骨組織は腐朽が完了し、白骨化していたと考えられている。靭帯や軟骨組織の腐朽完了には10年程度かかるため、B人骨とC人骨は10年以上の間隔を空けて埋葬されたことがわかる。 C人骨の上に一部重なるようにD人骨が埋葬されているところから、D人骨が出山横穴墓群8号墓の最終埋葬者であるのは間違いない。C人骨とD人骨の埋葬間隔はほとんど時間差がなかったものと見られている。 A人骨とB人骨の埋葬順は発掘結果からは明らかに出来なかったが、8歳前後の子どものために横穴墓が築造されたとは考えにくいため、B人骨が初葬でその後A人骨が埋葬されたか、またはA,Bの人骨は同時に埋葬されたものと見られている。 保存状態が良かったC人骨とD人骨については、歯について詳細な分析が行われた。その結果、C人骨には上顎洞に達する重度の虫歯があり、C人骨の死因とも考えられている。D人骨にも虫歯がみられ、出山横穴墓群8号墓の被葬者たちは恵まれた食生活を送っていたとの推定もある。また歯冠計測ではかなり類似した値が出ていることから、C人骨とD人骨は兄妹である可能性が指摘されている。
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