共感の罠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/03 00:29 UTC 版)
人間は魅力的な人々、自分に似た人々、あるいは自らの民族的背景や国民的背景を共有している人々に類似点を見つけ、それに魅力を感じ、共感を抱く傾向がある。数値の違いや統計データにはさほど敏感ではない。故に、道徳、思いやり、優しさ、愛、良い隣人であること、正しいことをすること、そして世界をより良い場所にするなど、良いことをしたいのであれば、共感は悪い指針であり、良い人であるためには自制心と正義感とともに客観的な思いやりが必要だと、哲学・心理学協会(SPP)の前会長を務めていたイェール大学・心理学部教授ポール・ブルーム氏は主張している。 他人から共感されることは自分の存在を認めてもらえたという承認欲求を満たすことから、傾聴し共感を示すことは精神的な援助となる。1993年以来、一般人が共感を示す対話スキルを学んで被災者や高齢者の話を傾聴し、心のケアを行う傾聴ボランティアが増加している。一般にカウンセリングでは、クライアントの苦しみや辛さを追体験し、できる限り分かってあげることを共感という。しかし、クライアントの個人的な経験によって発生した苦しみを、他人がその場で理解することは現実には無理がある。信田さよ子はカウンセリングにおける共感に対して懐疑的な見方をしており、クライアントの身になって考えよう、共感しようと思ったことはないと述べている。強い共感を持つ人間たちは、一般的に見られる多くのうつや、不安に関連する病気や症候群に悩む傾向がある。
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