優先権制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/07 17:55 UTC 版)
「工業所有権の保護に関するパリ条約」の記事における「優先権制度」の解説
詳細は「優先権」を参照 いずれかの同盟国において正規の特許、実用新案、意匠、商標の出願をした者は、特許及び実用新案については12箇月、意匠及び商標については6箇月の期間中、優先権を有する(パリ条約4条A(1)、4条C(1))。そして、この優先権期間中に他の同盟国に対して同一内容の出願を行った場合には、当該他の同盟国において新規性、進歩性の判断や先使用権の発生などについて、第1国出願時に出願したものとして取り扱われる(パリ条約4条B)。パリ優先権とも呼ばれる。 例えば、2005年1月1日に同盟国Xにおいて発明イについて特許出願Aをした者が、優先権を主張して2006年1月1日に同盟国Yに発明イについて特許出願Bをした場合、同盟国Yにおいては、新規性、進歩性の判断等において、現実の出願日である2006年1月1日ではなく第1国(同盟国X)出願日である2005年1月1日に出願したものとして取り扱われる。したがって、2005年9月1日に発明イと同一の発明が公知となっても、それを理由として2006年1月1日にされた特許出願Bに係る発明イの新規性は否定されない。 これにより、複数の同盟国で特許等を受けようと思う同盟国民は、言語等を考えて出願しやすい同盟国(通常は自国)にまず出願し、その後、優先権期間内に他の同盟国に出願することにより、同時に多数の同盟国に出願することなく、第1国出願日に出願した利益を享受することができる。特許出願の書類を外国語に翻訳することは容易なことではないため、優先権制度の意義は大きい。 なお、Y国で優先権出願された特許の存続期間は、Y国で優先権なしで特許出願がされ又は特許が与えられた場合に認められる存続期間と同一でなければならない(パリ条約4条の2(4))。
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