保型因子とその他の一般化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 10:17 UTC 版)
「モジュラー形式」の記事における「保型因子とその他の一般化」の解説
ほかによくある一般化としては、ウェイト k が整数で無い場合を許すとか、函数等式に ε(a, b, c, d) なる因子で |ε(a, b, c, d)| = 1 となるようなものが現れるのを許して f ( a z + b c z + d ) = ε ( a , b , c , d ) ( c z + d ) k f ( z ) . {\displaystyle f\left({\frac {az+b}{cz+d}}\right)=\varepsilon (a,b,c,d)(cz+d)^{k}f(z).} とするなどである。ここで ε(a, b, c, d)(cz + d)k の形の函数はモジュラー形式の保型因子として知られる。 保型因子を許せば、デテキントのエータ函数のような函数もウェイト 1/2 のモジュラー形式として理論の範疇に入る。そして例えば、χ が N を法とする ディリクレ指標とすれば、ウェイト k でレベル N のディリクレ指標 χ を指標としてもつモジュラー形式とは、上半平面上で正則な函数 f で任意の ( a b c d ) ∈ Γ 0 ( N ) {\displaystyle {\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}}\in \Gamma _{0}(N)} と上半平面上の点 z について f ( a z + b c z + d ) = χ ( d ) ( c z + d ) k f ( z ) {\displaystyle f\left({\frac {az+b}{cz+d}}\right)=\chi (d)(cz+d)^{k}f(z)} を満足し、かつ任意のカスプ上で正則となるものをいう。これが任意のカスプ上で消えているなばらカスプ形式と呼ぶのは同様である。 デテキント・エータ函数は、 η ( z ) = q 1 / 24 ∏ n = 1 ∞ ( 1 − q n ) , q = e 2 π i z {\displaystyle \eta (z)=q^{1/24}\prod _{n=1}^{\infty }(1-q^{n}),\ q=e^{2\pi iz}} と定義され、モジュラー判別式(英語版) Δ(z) = η(z)24 はウェイト 12 のモジュラー形式である。この 24 という数は、次元 24 をもつリーチ格子(英語版) に関係する。有名なラマヌジャン予想は、任意の素数 p に対して qp の係数は、絶対値 2p11/2 以下であることを主張し、ピエール・ドリーニュによってヴェイユ予想に関する研究の結果より、解決された。 二番目と三番目の例はモジュラー形式と数論での、二次形式による整数の表現や分割函数のような古典的な問題との関連に手がかりを与える。ヘッケ作用素の理論は、モジュラー形式と数論との極めて重大な概念的つながりを提供し、また、モジュラー形式論と表現論との関連も与える。
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