カスプ形式とは? わかりやすく解説

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カスプ形式

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2015/01/15 13:18 UTC 版)

数論では、カスプ形式(cusp form)、もしくは尖点形式とは、フーリエ級数展開の定数項が 0 である特別なモジュラー形式のことを言う。

概要

モジュラー群のモジュラー形式の場合とは異なり、カスプ形式はフーリエ級数展開(q-展開英語版(q-expansion)を参照)

の定数係数 a0 が 0 である。このフーリエ展開は、変換

上半平面のモジュラー群の作用の結果として現れる。

他の群に対しては、いくつかの単元を通した変換があり、フーリエ変換は異なるパラメータを使う変換となる。しかし、どの場合でも、q → 0 としたときの極限は、上半平面の z の虚部を → ∞ としたときの極限である。いわば、モジュラ群により商をとると、この極限は(コンパクト化を一点に加えるという意味で)モジュラ曲線カスプ英語版(cusp)に対応している。従って、定義はカスプでゼロとなるようなモジュラ形式をカスプ形式と言うと考えてもよい。他の群の場合には、複数のカスプを持つ場合があり、定義は全てのカスプでゼロとなるようなモジュラ形式となる。この場合は、複数の展開を持つこととなる。

次元

カスプ形式の空間の次元は、リーマン・ロッホの定理を通して、原理的には計算できる。例えば、有名なラマヌジャン函数 τ(n) は、a1 = 1 であるモジュラ群のウェイト 12 のカスプ形式のフーリエ係数の数列から発生する。そのような形式の空間は次元 1 であり、このことは定義可能であることを意味し、スカラー倍英語版によるヘッケ作用素の作用と考えられる(ラマヌジャンの等式のモーデルによる証明)。明らかに、これはモジュラ判別式

Δ(z, q),

であり、定数を正規化すると楕円曲線ヴァイエルシュトラスの方程式の右辺の 3 乗の判別式デデキントのエータ函数の 24 乗を表している。フーリエ係数は、

τ(n)

であり、正規化 :τ(1) = 1 された「ラマヌジャンのタウ函数」と呼ばれる。

関連する概念

保型形式でのより大きな描像では、スペクトル論の「離散スペクトル」/「連続スペクトル」とそれに伴う「離散系列の表現」/「誘導表現」という典型的に差異なることに対応し、カスプ形式はアイゼンシュタイン級数の補完する形になっている。すなわち、アイゼンシュタイン級数は、カスプでの与えられた値をとるように「設計」されている。大きな一般論では、かなり複雑な双曲部分群英語版(parabolic subgroup)の理論や対応するカスプ表現の理論に依存している。

参考文献




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