余弦関数による表現と基礎用語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 21:28 UTC 版)
「単振動」の記事における「余弦関数による表現と基礎用語」の解説
何かの量が時間経過に応じて変動しているとする。この量 x が単振動するとき、 x と時間 t の関係は余弦関数 cos によって x = A cos ( ω t + ϕ ) {\displaystyle x=A\cos(\omega t+\phi )} と記述できる。変化量 x には変位、圧力、電圧、電流といったさまざまな量を当てはめることができる。x が電流あるいは電圧の場合は、単振動ではなく正弦波と呼ぶこともある。ただし、物理学の波動分野では、空間と時間を独立変数として正弦関数で表される進行波を指して正弦波と呼ぶ。 単振動の場合、上式の A, ω, φ は全て時間に依存しない定数である。式中の各パラメータの詳細は次のとおりである。 A は振幅と呼ばれる。一般的に A の値は正とする。x が物体の変位の振動を意味しているとすれば、変位の中立位置 (x = 0) から最大値に相当する。x の値が A と −A の間を往復する振動となる。 cos の中身 ωt + φ は位相と呼ばれる。三角関数の中身であるため、位相は物理的次元を持たない無次元量で、しばしば角度とみなしてラジアンや度の単位をあてる。ωt + φ を位相角とも呼ぶ。三角関数の性質によって、位相が 2π 増えるたびに、x は同じ値に戻ることになる。ここで π は円周率である。 φ は初期位相や初期位相角と呼ばれる。これは、φ が t = 0 のときの位相の値を意味しているためである。φ を位相定数と呼んだり、単に位相角とも呼ぶこともある。φ に 2π の整数倍を加えた値、すなわち φ, φ ± 1 × 2π, φ ± 2 × 2π, … はいずれも同じ振動を表す。これらの中から、式がなるべく簡単になるように φ の値を決めることができる。 ω は角振動数や円振動数、角周波数と呼ばれる。振幅と同じく、一般的に ω の値は正とする。角振動数は、単位時間当たりの位相の変化量、あるいは位相の変化率を意味している。単位は rad/s(ラジアン毎秒)または 1/s(毎秒)か Hz(ヘルツ)となる。 上述のとおり、位相が 2π 増えるたびに x は同じ値に戻る。位相が 2π 増えるのに必要な時間を周期と呼ぶ。周期は記号 T などで表される。周期の定義より、周期 T と角振動数 ω には 2 π = ω T {\displaystyle 2\pi =\omega T} という関係があるから、T は ω によって次のように表される。 T = 2 π ω {\displaystyle T={\frac {2\pi }{\omega }}} また、周期の逆数 1/T を振動数あるいは周波数と呼ぶ。振動数は記号 f や ν などで表され、角振動数によって表現すれば f = ω 2 π {\displaystyle f={\frac {\omega }{2\pi }}} となる。振動数は 1 秒間に振動する回数を意味しており、単位は Hz(ヘルツ)である。混乱のおそれが無い場合は、角振動数 ω を指して単に振動数と呼ぶこともある。ただし、ω の値と f の値が 2π 倍違う点には常に注意を要する。
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