住信へのUFJ信託売却と撤回
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「UFJ銀行」の記事における「住信へのUFJ信託売却と撤回」の解説
前述の巨額赤字決算は自己資本を大きく毀損し、このままでは国際業務に必要な自己資本比率8%の維持が困難となった。このため、2004年5月21日に持株会社のUFJホールディングスはUFJ信託銀行を住友信託銀行へ3000億円で売却すると発表せざるを得なくなった。しかし、この売却でようやく繰延税金資産の自己資本への組み入れが監査法人に認められ、2004年3月期の自己資本比率割れをなんとか繕っている形であり、UFJの不良債権処理は体力的に難しい問題を抱えていた。特に問題になった債権は ダイエー、双日で貸付の規模は1兆円を上回っていた。この発表からわずか3日後の5月24日、UFJホールディングスの2004年3月期決算がUFJ信託銀行の売却でも埋められない大幅赤字となることが判明する。 この売却発表から2か月も経たない7月14日、持株会社経営陣はUFJ信託銀行の住友信託銀行への売却の撤回と、三菱東京フィナンシャル・グループ (MTFG)とUFJホールディングス(UFJHD)の経営統合で大筋合意し、翌7月16日にMTFGと経営統合に向けての協議を開始すると発表した。統合の時期は2005年度上半期を目標とし、2004年8月12日、2005年10月をメドにMTFGが三菱UFJホールディングス(当時の仮称)へ商号変更の上、UFJHDは吸収合併される事に基本合意し、「三菱東京UFJ銀行」に行名を改める予定となった。 これに対して、住友信託側が東京地方裁判所に交渉差し止めを求める仮処分申請を行い、東京地裁は2004年7月27日、当該仮処分申請を認める決定を下した。UFJ側がこれに対し異議を申し立てるも、8月4日に却下された。 さらに、UFJ側は即日東京高等裁判所に抗告。2004年8月11日、東京高裁は、地裁の決定を取消し、東京三菱とUFJの統合交渉を可とする決定を下した。住友信託側は同日、最高裁判所に特別抗告を行ったが、最高裁は8月30日、高裁の判断を妥当とし、住友信託側の申請を退ける決定が確定した。その後、住友信託側が売却の白紙撤回に対する民事訴訟に切り替えてUFJ側と争ったものの、2006年11月21日に東京高裁の提案による住友信託に対して25億円の和解金を支払う事で和解が成立した。
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