伝導と伝達
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 04:03 UTC 版)
一つの神経細胞内を膜電位の変化により情報が運ばれることを「伝導」、軸索末端に達した電気的変化が細胞膜の微細構造的変化(開口分泌)を起こして、特有な物質が放出されて情報が運ばれることを「伝達」と呼んでいる。フランスのルイ=アントワーヌ・ランヴィエは、軸索を取り巻く髄鞘に切れ目があること(ランヴィエの絞輪)に着目し、髄鞘が絶縁体となっていることを示唆した(1878年)。このことをカエルの単一神経線維を使って実験し、跳躍伝導を初めて記録したのは日本の田崎一二(1939年)であった。そして1952年、この電気的興奮が、細胞膜内外のナトリウムイオンとカリウムイオンの濃度勾配の変化(活動電位)によって生じることを示したのは、イギリスのアラン・ロイド・ホジキンとアンドリュー・フィールディング・ハクスリーである。 ニューロン間の伝達が実際に化学的物質の放出を含む現象であることは、オットー・レーヴィ(1924年)が二つのカエル心臓の一方のみの迷走神経を刺激して証明した。この事実から、神経と内分泌調節が特定の化学物質を介した共通点を持つことが理解されるようになり、後年「神経分泌」現象の認知に道が開かれることになった。
※この「伝導と伝達」の解説は、「神経」の解説の一部です。
「伝導と伝達」を含む「神経」の記事については、「神経」の概要を参照ください。
- 伝導と伝達のページへのリンク