仏教の四大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/27 01:03 UTC 版)
「大」はサンスクリット語のmahā-bhūtaの訳で、「4つの粗大な実在」の意。四大種ともいう。物質を作り上げる地・水・火・風の4元素のことで、説一切有部の教学では、4つのいずれも十二処のうちの触処(そくしょ)に含まれる。また、上座部大寺派の勝義法に挙げられる170法のうち、四大のそれぞれが、「色」の28法のうちに、またその中の「完色」の18法のうちに分類される(詳細は五位#上座部大寺派参照)。病気は四大の調和が崩れた時に起こると見なされるため、病気のことを四大不調ともいう。 最初は、実際に触れられる地、水、火、風の4種が様々に混じり合い、材料となって、他のあらゆる物質を合成していると考えられていた(例:牛の角には「地」が多い、牛乳には「水」が多い)。後にアビダルマ的思索が進むと、元素としての地、水、火、風は自然界の地、水、火、風とは別であり、地の「堅さ(堅)」、水の「湿潤性(湿)」、火の「熱性(煖)」、風の「流動性(動)」という性質こそが四元素の本体と考えられるようになった 。アビダルマ論師の中には、質料因としての四元素から物質的存在が合成されると考えるとしても、四元素の性質によって物質的存在が認識され把握されると考えるとしても、「四元素」と別に「四元素によって存在するもの」があるのではないから、全ての物質は結局四元素に過ぎないと考えた者もいた。しかし説一切有部の正統派は、物質的存在のある部分は「四元素」で、他の部分は「四元素によって存在するもの」と、両者を並立的に考えていた。 説一切有部の論書阿毘達磨倶舎論では、地界、水界、火界、風界をさすが、このうち風界は流動性という作用をもつ軽い一つのものそれ自体を世間では風と呼ぶため、世間一般の風と別なものではないと説かれる。また、地界は「保持」、水界は「包摂」、火界は「熟成」、風界は「増長」「増大」「流動」の作用をもつとされる。
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