人間と魔物・悪と正義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 00:52 UTC 版)
「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」の記事における「人間と魔物・悪と正義」の解説
劇中では、発表当時以前の『ドラゴンクエストシリーズ』に見られるような、人間と魔物の間での単純な勧善懲悪の対立関係が敷かれているわけではない。読切のエピソード2編(『デルパ! イルイル!』と『ダイ爆発!!!』)は、どちらも温厚で純朴な魔物達を人間が脅かす構図であり、黒幕は人間である。連載が始まって以降も、「人間が主敵である魔物を倒す」という方向性は維持されるものの、場合によっては人間の味方になり得る魔物の存在が随所で描かれていく。 ヒュンケル、バラン、ラーハルトなどのエピソードは人間側が悪者のように描かれている。また勇者ダイも、母親の死は人間の手によるものであり、物語の中盤ではその強大な力に向けられる一般の人々からの視線に苦しみ、竜(ドラゴン)の騎士と人間との混血という自らの出自に悩むこととなる。 最終ボスの大魔王バーンは、それ自体としては非常に冷酷な性格ではあるが、魔族なりの確固たる大義・正義(地上界を消し、魔界に太陽をもたらすことで、神々によって魔界に押込められた魔族を救わんと侵攻していた)を持つと共に、「強さ」を持つ者に対しては種族ゆえの差別はせず、例え人間であろうと敬意を持って接していた。ダイに自身の配下になるよう勧誘する場面においては、人間側の正義に潜む危うさを示唆した発言(「世界の危機にだけ現れ、世界を救い去っていく勇者は人間にとって都合がいいだけの存在であり、平時には疎まれる」)をしており、最終的に勧誘を断ったダイも、そうした人間側の危うさについては一定の理解を示している。 このような正義と悪を巡る構図も本作品の特色の一つである。また、人間は自分達の暮らす地上を守るため、魔族は地下深くに追いやられた屈辱を晴らし、地上を消し去って魔界に太陽の光を呼び込む(作中最強とされる大魔王バーンでも太陽レベルのエネルギーを生み出すことは出来ない)という壮大な目的のためなど、人間・魔族のどちらも確固たる理念の元に戦うという、現実社会における国レベルの戦争の縮図ともいえるテーマが取り入れられている。
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