二極真空管による整流作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 05:09 UTC 版)
二極真空管(二極管)はガラス管の中に、フィラメント(電気抵抗の比較的大きい電線で、両端を外部に引き出してある)と、フィラメントに向き合う板状の電極(アノード、形状からプレートと呼ぶ)を封入したものである。 真空中でフィラメント電極(陰極、カソード)に電流を流すと加熱され、熱電子が放出される。このとき、フィラメントを基準にしてプレート(陽極、アノード)側に正電圧を与えると、放出された熱電子は正電荷に引かれ陽極に向かって飛ぶ。この結果フィラメントからプレートに向けて電子の流れが生じる。すなわち、プレートからフィラメントに向かって電流が流れることになる。また、プレートに負電圧を与えると熱電子は負電荷に反発してプレートには達しない。従って、二極管はプレートからフィラメントに向かう電流のみ通すことになり、整流効果が得られる。 模式図では電極を並列に書いてあるが、実際の製品ではフィラメントを取り囲むような、筒状のプレートをもった構造が普通である。 二極真空管はダイオードと呼ばれたが、今日では同じ機能を持った半導体素子を「半導体ダイオード」、あるいは単にダイオードと呼ぶのが普通である。電源整流用のものはプレート電流が大きく、発熱も大きくなることから寿命が短いことが多い。機器により、立ち上がり時間、突入電流の問題はあるが、半導体のダイオードに置き換えることが可能なため、自作アンプや真空管ラジオの補修等で、整流管のみ半導体に置き換えることも行われている。 自動車用電球には前照灯や制動灯のようにダブルフィラメントのものがある。このうちの一方のフィラメントのみが切れた状態のものは、残ったフィラメントをヒーター、切れたほうの電極をプレートと見れば二極真空管と同等の構造を有していることとなる。内部に不活性ガスが封入され真空でないものはうまくいかないが、ガス圧が極めて低いものはフィラメントに適当な電流を流して整流作用を観察できる場合がある。
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