乳房炎を引き起こす微生物
乳牛にとって、いちばん身近な病気のひとつが乳房炎です。この乳房炎を引き起こす可能性のある微生物はおよそ90種類に及ぶとされていますが、その中で発生頻度の高いものを紹介します。 黄色ブドウ球菌 乳房炎の原因微生物としては最も発生頻度の高いものの一つです。この細菌は乳腺組織に侵入し被のう病巣を形成するため、抗生物質などの薬剤を乳房内に注入しても病巣内に十分到達することができず、同菌を完全に排除できずに慢性の乳房炎になる場合が多く見られます。 無乳性連鎖球菌 乳汁中でしか生存できず、抗生物質の注入による治癒率が高いので、牛群から排除するのは比較的容易であり、この細菌による乳房炎は減少する傾向にあります。 大腸菌群 主な細菌は大腸菌及びクレブシエラ・ニューモニエです。糞便中に一般的に含まれる細菌で、オガクズなどの保水性の高い敷料中で爆発的に増殖します。牛にストレスがかかりやすい乾乳直後あるいは分娩前後に感染が起こりやすいといわれています。また気温の上昇が続いた後に発生率の増加が認められる場合もあります。 乳房連鎖球菌 この細菌の感染牛群では、搾乳牛の乳房および乳頭表面、口唇、ヘントウに存在し、牛舎環境中にも存在しています。乳頭口付近に傷があったり、導入管で搾乳する場合にこの細菌による乳房炎がしばしば起こるとされています。また敷料の麦桿中で増殖し、搾乳と搾乳の間に環境から乳房内へ感染することが多いとされています。 |
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