中尊寺ゆつことは? わかりやすく解説

中尊寺ゆつこ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 09:10 UTC 版)

中尊寺 ゆつこ
CHUSONJI Yutsuko
本名 小林 幸子(ゆきこ)
旧姓:藤原
生誕 1962年5月28日
神奈川県横浜市磯子区
死没 (2005-01-31) 2005年1月31日(42歳没)
神奈川県横浜市
国籍 日本
職業 漫画家
活動期間 1987年 - 2005年
ジャンル 漫画
代表作 『スイートスポット』
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中尊寺 ゆつこ(ちゅうそんじ ゆつこ、英語: Yutsuko Chūsonji、本名:小林 幸子(こばやし ゆきこ)、旧姓:藤原、1962年昭和37年〉5月28日 - 2005年平成17年〉1月31日)は、日本漫画家エッセイストコメンテーター[1]

1990年代に活躍して「オヤジギャル」などの流行語を生んだ。

来歴

東京都で生まれ、神奈川県横浜市出身[2]横浜市立岡村中学校港南台高等学校駒澤大学法学部政治学科それぞれを卒業する。

小学生の頃に谷岡ヤスジから「天才漫画少女」と称され[3]、漫画が上手い少女としてテレビに出演する。芳村真理などを輩出したモデルクラブで、少女モデルとして14歳までCMや雑誌で活動[2]する。

高校から大学まで、ケイト・ブッシュの日本ファンクラブ会長として会報を編集して発行した。大学受験で1年間浪人し、横浜YMCA予備校で難関校向けP1クラスに在籍した。大学卒業後は就職せず、1987年(昭和62年)に『週刊漫画アクション』と『ビジネス・ジャンプ』で新人賞[2]となり[4]、以後漫画家として活動する。

OLを題材にした漫画『スイートスポット』を1989年平成元年)から『SPA!』(扶桑社)で連載し、作中で用いた「オヤジギャル」は、女性の「オヤジ化」現象を表した新語として1990年新語・流行語大賞新語部門銅賞となる。

1993年ニューヨークへ移住する前後から、おもに文法書を用いた学習で英語を習得する。政治学科の知識を生かしてライフスタイルを詳細に観察し、アフリカアメリカを漫画で表現した。

1995年に帰国し、時事風刺、漫画、エッセイ、コメンテーターなど活動する。

1998年に音楽ジャーナリストの小林雅明と結婚して長女と長男を設ける[5][6]

2001年から日本経済新聞夕刊で「蘭子課長SOS!」を連載しつつ世界を旅する[7]

2004年5月に在アトランタ日本総領事からアメリカへ招かれてジミー・カーターと面会する。外務省から招かれてジョージア日米協会年次晩餐会ジョージア州立大学で英語で講演し、ジョージア日米協会名誉会員[8]となる。

2004年夏ごろからS状結腸癌を患い、執筆を継続しつつ闘病し、2005年(平成17年)1月31日に横浜市内の病院で42歳で他界する。死後に遺骨について配偶者と母親が争い配偶者が勝訴し、のちに母の藤原七生は雑誌で手記を発表した[9]。父は建築家[10]

音楽活動

大学在籍中に音楽バンド『ロシアバレエ団』で音楽活動し、1984年(昭和59年)12月に「ナーチャンレコード」から自主制作でソノシート「移動の民/青春は二度とやってこない」、1986年(昭和61年)にインディーズレーベル「ナゴムレコード」からシングル「シンクーム」、それぞれを販売した。バレリーナ風のチュチュを着て踊りながら、音程の外れた声で歌うコミックバンド色の強いユニットだった。学生バンドのため卒業後は解散状態となり、打ち込みの電子音楽を始める。

1993年2月にCDアルバム『BREATH』をポリドール から発売し、宮沢りえなどに楽曲を提供した。

ペンネーム

(奥州)藤原氏から岩手県平泉の「中尊寺」を連想し、個人事務所は中尊寺金色堂から金色堂とした。「ゆきこ」から変じた「ゆつこ」は幼少期からニックネームとして用いる。促音の「ゆっこ」ではなく「Yutsuko Chusonji」と多く併記した。

受賞

作品

漫画

  • 『お嬢だん』 双葉社 1989 - 94年 後年文庫版
  • 『新・お嬢だん』 双葉社 のちに文庫化
  • 『スイートスポット OLゴルフ説教』 扶桑社 1989 - 92年 後年文庫版
  • 『プリンセス in Tokyo』 マガジンハウス 1989年 
  • 『お嬢品経済学』 マガジンハウス 1991年
  • 『ブレス』 ダイヤモンド社 1993年
  • 『ワイルドQ』 マガジンハウス 1996年
  • 『マダム陰アンド陽』 主婦と生活社 1997年
  • 『うらわか姫』 双葉社 1999年
  • 『ハマのメリーJさん 中尊寺ゆつこファンキー名作徹底解剖 完全版』 ハマJ研究会編 ブルース・インターアクションズ 2010年

著作

  • 『中尊寺ゆつこのスイートゴルフ』 マガジンハウス 1991年
  • 『自分改造主義』 角川書店 1992年
  • 『ヨノナカ関係論』 朝日新聞社 1992年
  • 『ニューヨークネイバーズ』 アスペクトセレクション 1995年
  • 『ウィ・アー・ジャパニーズ』 毎日新聞社 1995年
  • 『ちょっとあなたはめだちすぎ』 アスキー 1998年
  • 『ていうか経済ってムズカシイじゃないですか』 日本経済新聞社 2001年
  • 『アフリカンネイバーズ』 木楽舎 2002年
  • 『セレブ列伝』 廣済堂出版 2002年
  • 『新ニューヨークネイバーズ セレブに会えるアメリカ・ガイド』 講談社 2005年
  • 『やっぱり英語をしゃべりたい! 英語負け組からの華麗なる脱出法』 祥伝社 2005年 後年ちくま文庫
連載

楽曲

  • 1984年12月 自主制作ソノシート・レコード『移動の民/青春は二度とやってこない』ナーチャンレコード
  • 1986年 シングル『シンクーム』インディーズレーベルナゴムレコード
  • 1993年2月 CDアルバム『BREATH』ポリドール POCH-1184 2307円(税込)[11]
    • 1.Love Relation 2.Woman from the East 3.Breath in the Sea 4.Flowers of the World 5.Blessing 6.Love Relation
楽曲提供
  • 宮沢りえ『DON'T CALL ME BABY』作詞:中尊寺ゆつこ、作曲:Julia(1990年10月21日)[12]
  • 宮沢りえ『CHANNEL'M' 』作詞:中尊寺ゆつこ、作曲:Julia(1990年10月21日)
  • ウゴウゴルーガ『ふたごのチチとカカ』作詞・作曲(1992年、フジパシフィックミュージック)フジテレビ系番組「ウゴウゴルーガ」エンディングテーマ[13]

映像化作品

  • 『お嬢だん』(1991年)
  • 『スイートスポット』(1991年)[14]

出典

  1. ^ excite. “「流行語“オヤジギャル”を生みだした!? バブルの女王・中尊寺ゆつこ」空町餡子 2016.10”. 2022年2月2日閲覧。
  2. ^ a b c 長谷邦夫『ニッポン漫画家名鑑―漫画家500人のデータブック』データハウス、1994年、220 - 221頁
  3. ^ imidas. “「中尊寺ゆつこ『オヤジギャル』の流行語を生んだ漫画家」”. 2022年2月2日閲覧。
  4. ^ 佳作は臼井儀人
  5. ^ マンガ家の中尊寺ゆつこさんが死去ナリナリドットコム、2005/01/31
  6. ^ 山田真美. “「今は亡き中尊寺ゆつこさんから頂いたカード」”. 2022年2月2日閲覧。
  7. ^ 日本経済新聞出版. “「中尊寺ゆつこ」2001”. 2022年2月2日閲覧。
  8. ^ 筑摩書房. “「やっぱり英語をしゃべりたい!英語負け組からの華麗なる脱出法」2008”. 2022年2月2日閲覧。
  9. ^ 娘・中尊寺ゆつこを送って5年、いまだ消えない深い傷 婦人公論、2010年3月7日号
  10. ^ NY EXITエピソード6ゲスト紹介So-net Channel 749、2004
  11. ^ 中尊寺ゆつこ「BREATH」1993年2月”. 2022年2月2日閲覧。
  12. ^ uta-net. “中尊寺ゆつこ”. 2022年2月2日閲覧。
  13. ^ at-elise. “『ふたごのチチとカカ』作詞・作曲(1992)”. 2022年2月2日閲覧。
  14. ^ allcinema. “中尊寺ゆつこ”. 2022年2月2日閲覧。

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