並四、並三、三ペン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:22 UTC 版)
並四(なみよん)、並三(なみさん)とは国内で使われた再生式ラジオ受信機の構成の俗称で、並四は真空管4本を、並三は真空管3本を用いたものである。共に高周波増幅段は持たない。 並三は再生検波、低周波増幅、整流(電源用)の各回路に真空管1本を用い、スピーカを用いる真空管式ラジオ受信機の最も単純な構成にあたる。並四は、感度を上げるため低周波増幅を2段にし真空管をもう1本増やした構成である。さらにもう少し高感度で高価な受信機用として、再生検波の前に高周波増幅段を持つ高一(こういち)と呼ばれる構成もあった。 並四の名称が使われ始めたのは、再生式ラジオ受信機に高性能な五極管が使われだした1930年代で、それ以前の普通の(並みの)真空管である三極管を用いた4球式の受信機を区別して並四の名称で呼ぶようになった。三極管を用いた4球式受信機は1931年頃から「普通四球」と言われるようになり、1935年頃には「並四球」が資料に現れる。これに対し五極管(ペントード、Pentode)を用いた3球の再生式ラジオ受信機は三ペンの名前で呼ばれた。 この頃に並三という呼称はまだない。この当時、三極管のみを用いた3球式受信機は感度が悪く送信所から近距離の場所でしか使えず、市販のラジオ受信機として一般的な構成ではなかった。 その後、ラジオ受信機用の真空管として五極管が一般的になり三極管が使われなくなっても並四の名称は受け継がれた。第二次世界大戦が終わり多くの電機メーカーがスーパーヘテロダイン受信機を作るようになった1950年代以降も、自作ラジオ向けの再生検波回路用コイルが「並四コイル」の名前で販売されて有名になり、多くの無線雑誌で並四の名称が一般的に使われるようになった。また三ペンという名称は使われなくなり、戦前に三ペンと呼ばれていた受信機は並三の名称で呼ばれるようになった。 並四で使用された真空管の組み合わせ例(上から年代順)再生検波低周波増幅電力増幅整流備考UY-227 UX-226 UX-112A KX-112B ナス管、三極管使用 UY-27A UX-26B UX-12A KX-12B ST管初期型、三極管使用 UZ-57 UX-26B UX-12A KX-12B ST管、国策型など、五極管使用 UZ-57 UY-56 UX-12A KX-12F ST管、国策型後期、五極管使用 6C6 UY-76 6Z-P1 KX-12F ST管、戦後、五極管使用
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