両性生殖
両性生殖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 03:17 UTC 版)
両性生殖個体は雌雄異体であり、雄と雌がいる。どちらも単為生殖雌と同じく宿主に付着したタンツルス幼生から生じるが、その形態には大きな違いがある。 両性生殖雌は、単為生殖雌と同じように、胸部と腹部を脱落させたタンツルス幼生の頭部から生じる。両性生殖雌の体は、袋状に膨らんだ幼生頭部のなかで、あたかも昆虫の蛹のように形成される。この間、雌は「へその緒」と呼ばれる組織を通じて、宿主から栄養を得る。両性生殖雌の体長は0.5ミリメートル前後で、1対の触角を備える頭胸部に、付属肢を備える胸節が2つ、付属肢のない体節が3つ、合わせて6体節の体を持つ。2対の胸肢は雄を把握するのに役立つと推測されている。卵は雌の体がまだ幼生の体内にあるうちに、頭胸部のなかで形成される。イトウヒメヤドリエビでは、この卵は直径約0.032ミリメートルで、1個体の体内に14個が確認された。生殖孔は頭胸部後半の腹面にある。 雄になるタンツルス幼生は胸部と腹部を切り離さず、胸部が膨らみ、そのなかで雄の体が形成される。雄も雌と同様に、へその緒を通じて栄養を得て成長する。成熟した雄の体長は0.2ミリメートルから0.5ミリメートル。頭胸部は頭部と2つの胸節が融合したもので、その先端には数対の感覚毛がある。ほかに頭胸部に含まれない胸節が4つある。胸節はそれぞれ1対の付属肢をもつので、雄は計6対の胸肢を備える。この胸肢は遊泳に用いられると考えられる。後体部は2体節(または2つが癒合した1体節)で、前方の体節にペニスがある。 両性生殖の雌雄はやがて宿主を離れて出会い、配偶するものと思われるが、宿主から離れた状態の雌雄が採集されたことはなく、詳細は不明である。両性生殖によって生じる受精卵が、どのような幼生に発達するのかもわかっていない。
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