不偏分散 unbiased estimate of population variance
母分散 σ^2 の推定量として S^2=Σ (Xi-Xbar)^2/n を使用したとき,S^2 は母分散の不偏推定量ではない。n 個の観察値は全体として自由度 n を持つが, Σ (Xi-Xbar)^2 は Xbar=Σ Xi/n という制約条件が 1 つあるので,自由度は n-1 になる。不偏分散が Σ(Xi-Xbar)^2/(n-1) のように n-1 で割られるのはここに起因する。不偏分散は(変動/自由度)で定義され,分散分析でも使用される(分散分析では,平均平方 mean square とも呼ばれる)。
詳しくは,不偏分散を参照のこと。
詳しくは,不偏分散を参照のこと。
不偏分散(U)
観測値の散らばりを表すと同時に,その観測値がえられた母集団における散らばりの推定値でもある(“母分散の不偏推定値”という)。
有効ケース数を n,各ケースの測定値を Xi ( i = 1,2,… ,n )とすると,以下の式で定義される。
すなわち変動を n-1 で割ったものである。分母が n - 1 であることに注意。ケース数が大きくなれば,分散と不偏分散の違いは小さくなる。
上式を変形すると,次式が得られる。
この式は電卓などを用いて計算するときには便利なものであるが,コンピュータを用いて計算する場合には使わない方がよい。
例題:5 つの測定値,2,3,4,7,9 の不偏分散を求めよ。
解答:算術平均値は = ( 2 + 3 + 4 + 7 + 9 ) / 5 = 5
不偏分散は U = { ( 2 - 5 )2 +( 3 - 5 )2 +( 4 - 5 )2 +( 7 - 5 )2 +( 9 - 5 )2 } / ( 5 - 1 ) = { 32 + 22 + 12 + 22 + 42 } / 4 = 8.5
または,U = { 22 + 32 + 42 + 72 + 92 - 5・52 } / ( 5 - 1 ) = ( 159 - 125 ) / 4 = 8.5
度数分布表から分散を求めるには,各階級の度数を fi,その中心点を Xi,m を階級数として,以下のように定義できる。
例題:「426 人の女子学生の身長の度数分布が表 1 のようであった。不偏分散を求めよ。」
階級(単位 cm) | 度数 |
---|---|
140 以上 145 未満 | 4 |
145 以上 150 未満 | 19 |
150 以上 155 未満 | 86 |
155 以上 160 未満 | 177 |
160 以上 165 未満 | 105 |
165 以上 170 未満 | 33 |
170 以上 175 未満 | 2 |
合計 | 426 |
解答:以下のような計算表を作る。
中心点(Xi) | fi | fi・Xi | Xi2 | fi・Xi2 |
---|---|---|---|---|
142.5 | 4 | 570.00 | 20306.25 | 81225.00 |
147.5 | 19 | 2802.50 | 21756.25 | 413368.75 |
152.5 | 86 | 13115.00 | 23256.25 | 2000037.50 |
157.5 | 177 | 27877.50 | 24806.25 | 4390706.25 |
162.5 | 105 | 17062.50 | 26406.25 | 2772656.25 |
167.5 | 33 | 5527.50 | 28056.25 | 925856.25 |
172.5 | 2 | 345.00 | 29756.25 | 59512.50 |
合計 | 426 | 67300.00 | 10643362.50 |
算術平均値は = 67300 / 426 = 157.981221
不偏分散は U = ( 10643362.50 - 426・157.9812212 ) / ( 426 - 1 ) = 26.4149406
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