ヴェーバー批判
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博士論文をもとにした『マックス・ヴェーバーの犯罪』(2002年)で、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』におけるヴェーバーの資料操作の問題点を指摘、2003年同書で山本七平賞を受賞した。ヴェーバーを専門とする東京大学名誉教授の折原浩はこれに対し、羽入を批判する著作を続けて刊行した。北海道大学准教授の橋本努は自身のホームページに「羽入・折原論争」のコーナーを開設し、複数の評者の意見をWeb上で公開した。羽入はネット上では論争にならないとして取り合わず、2008年に折原を批判する『学問とは何か』を上梓した。 『マックス・ヴェーバーの犯罪』の中心的論点は、ヴェーバーの引用する独訳聖書(「コリント人への第一の手紙」7章20節)におけるBeruf(宗教的召命と世俗的職業を同時に意味する)の訳語が、マルティン・ルター本人に由来するものではないというものであり、羽入はこれを(百年間誰も気づかなかった)「世界初の発見」(「エコノミスト」2002.12.10 P60、『学問とは何か』P228)としていた。しかし、実際には沢崎堅造『キリスト教経済思想史研究』(1965年未来社、初出論文は1937年刊行)によって同様の指摘がすでに行われていたことが判明し、「筆者は“Beruf”概念に関する議論に関して、筆者が世界で最初の発見者であるという主張をここで取り消す」と述べた。ただし、「先達者がいた、ということが分かったとしても学問的には何ら問題はないのである」(『学問とは何か』P194、196)としている。
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