ヴァルトガイスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/14 06:31 UTC 版)
ヴァルトガイスト | |||||||||||||||
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2018年BCターフ出走時
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欧字表記 | Waldgeist[1] | ||||||||||||||
品種 | サラブレッド | ||||||||||||||
性別 | 牡[2] | ||||||||||||||
毛色 | 栗毛[2] | ||||||||||||||
生誕 | 2014年2月17日[2] | ||||||||||||||
父 | Galileo[2] | ||||||||||||||
母 | Waldlerche[2] | ||||||||||||||
母の父 | Monsun[2] | ||||||||||||||
生国 | ![]() |
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生産者 | The Waldlerche Partnership[2] | ||||||||||||||
馬主 | Gestut Ammerland & Newsells Park[2] | ||||||||||||||
調教師 | アンドレ・ファーブル(![]() |
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競走成績 | |||||||||||||||
生涯成績 | 21戦9勝[2] | ||||||||||||||
獲得賞金 | £4,298,561[2] | ||||||||||||||
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ヴァルトガイスト (Waldgeist[1]) はイギリス生産、フランス調教の競走馬である。主な勝ち鞍は2016年クリテリウムドサンクルー(GI)、2018年サンクルー大賞(GI)、2019年ガネー賞(GI)、凱旋門賞(GI)。
牡馬としては小柄な体格で、2018年香港ヴァーズ出走時の馬体重は927ポンド(約420.48kg)であった[3]。
戦績
2014年2月18日にイギリスで誕生。フランスの名門アンドレ・ファーブル厩舎から2016年9月にデビュー。3戦目のクリテリウムドサンクルーで2着ベストソリューションを破ってG1初制覇[2]。
2017年はジョッケクルブ賞(仏ダービー)での僅差の2着に入るなど善戦を続けたものの、年間を通して未勝利に終わった[2]。
2018年5月のエドゥヴィユ賞で2歳戦以来となる久々の勝ち星を挙げると、続くシャンティイ大賞も3馬身差で快勝。迎えたサンクルー大賞で2着コロネットとの争いをハナ差制して2度目のG1タイトルを手にした。秋は日本からクリンチャーも出走していたフォワ賞で鋭い瞬発力を発揮し、2馬身半差で完勝。これで4連勝とし、主戦のピエールシャルル・ブドーも「今年になってフィジカルもメンタルも非常に成長して、足りなかった小さなパーツたちが集まってきた」と成長ぶりを讃えた[4]。本番の凱旋門賞では牡馬の大将格としてエネイブルに次ぐ2番人気に推されたが、後方から差を詰めたものの4着に敗れた。その後はブリーダーズカップ・ターフ、香港ヴァーズと世界を転戦したが、それぞれ5着、4着に終わった[2]。
2019年始動戦のガネー賞で前年の仏ダービー馬スタディオブマンに4馬身半差をつけて圧勝し、3度目のG1制覇を飾った。その後はイギリスに遠征し、プリンスオブウェールズステークスでクリスタルオーシャン、マジカルに次ぐ3着、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスではエネイブルとクリスタルオーシャンの壮絶な叩き合いに食らいついて約2馬身差の3着と善戦を続けた[2]。フォワ賞では直線で逃げたキセキを交わして先頭に立つと、ウェイトゥパリスに2馬身差を付ける完勝で連覇を達成した[5]。
続く本番の第98回凱旋門賞は重馬場での開催となる。ヴァルトガイストは陣営からも速い馬場が得意と評されており[6]、エネイブルのジョン・ゴスデン調教師からもライバル視するのは「雨が降らない場合」とされていた[7]。しかし当日は重い馬場を苦にせず、史上初の凱旋門賞三連覇を狙ったエネイブルをゴール前で差し切り、JRAオッズ9番人気、現地オッズでも5番人気タイの評価を覆して優勝[8]。フォワ賞の勝ち馬としては1984年のサガス以来、5歳以上の馬としては2002年のマリエンバード以来の優勝となった。そしてこのレースを最後に現役を引退した。
種牡馬入り後
2020年よりアイルランドのバリーリンチスタッドで種牡馬となる。
2025年よりドイツのゲシュティート・ルンツェンに移動し、種牡馬生活を続けることになった[9]。
競走成績
以下の内容は、Racing Post[2]の情報に基づく。
出走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離 | 着順 | 騎手 | 着差 | 1着(2着)馬 |
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2016. 9. 8 | シャンティイ | 未勝利 | 芝8f | 1着 | P.ブドー | 2馬身 | (Called to the Bar) | |
10. 8 | シャンティイ | コンデ賞 | G3 | 芝9f | 3着 | P.ブドー | 1/2馬身 | Frankuus |
10.30 | サンクルー | クリテリウムドサンクルー | G1 | 芝10f | 1着 | P.ブドー | 1馬身 | (Best Solution) |
2017. 5. 8 | サンクルー | グレフュール賞 | G2 | 芝10f | 2着 | P.ブドー | 2馬身1/2 | Recoletos |
6. 4 | シャンティイ | ジョッケクルブ賞 | G1 | 芝10.5f | 2着 | P.ブドー | 短頭 | ブラムト |
7. 1 | カラ | 愛ダービー | G1 | 芝12f | 4着 | P.ブドー | 2馬身 | Capri |
10. 7 | アスコット | カンバーランドロッジステークス | G3 | 芝12f | 2着 | V.シュミノー | クビ | Danehill Kodiac |
11. 1 | ミュンヘン | バイエルン大賞 | G1 | 芝12f | 4着 | P.ブドー | 2馬身 | Guignol |
2018. 4. 8 | パリロンシャン | アルクール賞 | G2 | 芝10f | 5着 | P.ブドー | 2馬身1/2 | Air Pilot |
5. 6 | パリロンシャン | エドゥヴィユ賞 | G3 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | 1馬身1/2 | (Way To Paris) |
6. 3 | シャンティイ | シャンティイ大賞 | G2 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | 3馬身 | (Dschingis Secret) |
7. 1 | サンクルー | サンクルー大賞 | G1 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | ハナ | (Coronet) |
9.16 | パリロンシャン | フォワ賞 | G2 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | 2馬身1/2 | (Talismanic) |
10. 7 | パリロンシャン | 凱旋門賞 | G1 | 芝12f | 4着 | P.ブドー | 1馬身3/4 | Enable |
11. 3 | チャーチルダウンズ | ブリーダーズカップ・ターフ | G1 | 芝12f | 5着 | P.ブドー | 13馬身1/2 | Enable |
12. 9 | 沙田 | 香港ヴァーズ | G1 | 芝12f | 5着 | P.ブドー | 4馬身1/2 | Exultant |
2019. 4.28 | パリロンシャン | ガネー賞 | G1 | 芝10.5f | 1着 | P.ブドー | 4馬身1/2 | (Study Of Man) |
6.19 | アスコット | プリンスオブウェールズステークス | G1 | 芝10f | 3着 | P.ブドー | 4馬身1/2 | Crystal Ocean |
7.27 | アスコット | キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス | G1 | 芝12f | 3着 | P.ブドー | 2馬身 | Enable |
9.15 | パリロンシャン | フォワ賞 | G2 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | 2馬身 | (Way to Paris) |
10. 6 | パリロンシャン | 凱旋門賞 | G1 | 芝12f | 1着 | P.ブドー | 1馬身3/4 | (Enable) |
血統表
ヴァルトガイストの血統 | (血統表の出典)[§ 1] | |||
父系 | サドラーズウェルズ系 |
[§ 2] | ||
父
Galileo 1998 鹿毛 |
父の父
Sadler's Wells1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic | |
Natalma | ||||
Fairy Bridge | Bold Reason | |||
Special | ||||
父の母
Urban Sea1989 栗毛 |
Miswaki | Mr.Prospector | ||
Hopespringseternal | ||||
Allegretta | Lombard | |||
Anatevka | ||||
母
Waldlerche 2009 栗毛 |
Monsun 1990 黒鹿毛 |
Königsstuhl | Dschingis Khan | |
Konigskronung | ||||
Mosella | Surumu | |||
Monasia | ||||
母の母
Waldmark2000 栗毛 |
Mark of Esteem | Darshaan | ||
Homage | ||||
Wurftaube | Acatenango | |||
Wurfbahn | ||||
母系(F-No.) | 5号族(FN:5-f) | [§ 3] | ||
5代内の近親交配 | Surumu4×5=9.38%(母内) | [§ 4] | ||
出典 |
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- 母Waldlercheは仏G3ペネロープ賞の勝ち馬[10]。
- 半妹Waldlied(父ニューアプローチ)は仏G2マルレ賞の勝ち馬[11]。
- 母の半兄マスクドマーヴェル(父モンジュー)は2011年の英セントレジャー勝ち馬[12]。
- 祖母の半弟Waldparkは2011年の独ダービー勝ち馬[13]。
- 3代母の半妹Wurfspielの仔に2016年マンノウォーステークスの勝ち馬Wake Forest[14]、孫に2018年クリテリウムドサンクルーの勝ち馬Wonderment[15]がいる。
- 11代母Wally(ドイツ産馬)[16]から本馬に至るまで牝系祖先が全てイニシャルがWの馬で構成されているドイツ牝系の出身であり、本馬の馬名もドイツ語で「森の精」を意味する。
脚注
- ^ a b Waldgeist(GB). JBIS-Search. 2019年8月27日閲覧
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o | Race Record & Form. Racing Post. 2019年8月23日閲覧
- ^ “Results - Racing Information - Horse Racing”. The Hong Kong Jockey Club. 2019年10月7日閲覧。
- ^ “フランスの名門ファーブル厩舎からは充実のヴァルトガイストら有力3頭”. JRA (2018年10月6日). 2019年8月27日閲覧。
- ^ “フォワ賞(G2) 2019/9/15(日)”. JRA-VAN ver. World. 2019年9月17日閲覧。
- ^ “Andre Fabre has Waldgeist primed for King George challenge”. Racing TV (2019年7月23日). 2019年10月7日閲覧。
- ^ “エネイブル3連覇へ余裕のゴスデン師/凱旋門賞”. JRA-VAN ver. World (2019年10月4日). 2019年10月7日閲覧。
- ^ “オッズ | 2019凱旋門賞 | JRA-VAN ver.World”. 2019年10月7日閲覧。
- ^ ロペデヴェガの種付け料が約2900万円に値上がり、ヴァルトガイストはドイツへ移籍JRA-VAN Ver.World、2024年11月14日配信・閲覧
- ^ “Waldlerche(GB)”. JBIS-Search. 2019年8月27日閲覧。
- ^ “Waldlied | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “ヴァルトガイストの血統表”. netkeiba.com. 2019年8月27日閲覧。
- ^ “WALDPARK(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “Wake Forest(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “Wonderment | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “Wally(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年8月28日閲覧。
- ^ “Waldrun(GER)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年8月28日閲覧。
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ、Racing Post
ヴァルトガイスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 07:23 UTC 版)
「第98回凱旋門賞」の記事における「ヴァルトガイスト」の解説
出走日競馬場競走名格距離頭数馬番着順タイム騎手斤量1着馬(2着馬)2019.04.28 パリロンシャン ガネー賞 G1 芝2100m(稍重) 5 3 1着 2:09.0 P.ブドー 58 (Study Of Man) 0000.06.19 アスコット プリンスオブウェールズS G1 芝1990m(稍重) 8 4 3着 不明 P.ブドー 57 Crystal Ocean 0000.07.27 アスコット KGVI&QES G1 芝2390m(稍重) 11 7 3着 P.ブドー 60 Enable 0000.09.15 パリロンシャン フォワ賞 G2 芝2400m(良) 4 2 1着 2:27.5 P.ブドー 58 (Way to Paris) ヴァルトガイストは、サンクルー大賞(G1)や前哨戦のフォワ賞(G2)など重賞4連勝で臨んだ2018年の凱旋門賞は4着に終わり、その後アメリカや香港に転戦したが、5着、4着に終わった。ヨーロッパに戻りパリロンシャンで行われるガネー賞(G1)で復帰。2018年のフランスダービー優勝馬スタディオブマンを4馬身半離し優勝、G1・3勝目を挙げた。そしてプリンスオブウェールズステークス(G1)に参戦。優勝したクリスタルオーシャンから5馬身、2着のマジカルから3馬身離され3着に終わる。続いてキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(G1)でも、大接戦を演じた1・2着馬エネイブルとクリスタルオーシャンから2馬身離された3着に終わる。2018年に引き続き凱旋門賞の前哨戦としてフォワ賞を選択、逃げるキセキを最後の直線で捉えてフォワ賞連覇、重賞7勝目となった。
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